すなおのひろば

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【臨床実習指導者講習会 参加報告:その1】指定規則改正の趣旨

f:id:sunao-hiroba:20200112131706p:plain先日、厚生労働省指定の『臨床実習指導者講習会』に参加してきました。

これは、令和2年4月1日より改正・施行される『理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則(以下、指定規則)』に基づき開催されているものです。

今後、臨床現場においてPT(OT)の実習生に対し指導を行う際、「指導者の資格要件」として当講習会の修了が必須になります。

丸2日間、合計16時間にわたる講習会で、なかなか大変でした…(^_^;)

内容もかなり濃密なものになりますので、記事を数回に分けて順次ご報告させて頂きます。

※参考資料:以下のウェブページをご覧下さい。

www.japanpt.or.jp

 

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1.はじめに:指定規則改正に至った経緯

今回の記事では前置きが長くなってしまいますが、改正までの経緯をきちんと把握しておくことは我々にとって非常に大切であると考えております。

何とぞご容赦下さい。

 


『指定規則』とは、PT・OT養成校における教育内容や専任教員の要件等を定めているものです。

この指定規則については、平成 11 年にカリキュラムの弾力化等の見直しが行われて以降、目立った改正もなく推移していました。


それが今回、約20年ぶりに大きく改正された趣旨としては、

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◆高齢化に伴う医療需要の増大や地域包括ケアシステムの構築等により、PT・OTに求められる役割や知識等が大きく変化している。

◆PT・OT養成施設のカリキュラムについて、臨床実習の実施方法や評定方法が各養成施設で様々である実態を踏まえ、臨床実習のあり方の見直しをはじめ質の向上が求められている。

厚労省理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則の一部を改正する省令案について(概要)』より一部要約し引用。

 
表向きには、上記のように言われています。


しかし実際のところは、2016(平成28)年3月の国会において、民主党(当時)阿部知子議員から提出された

理学療法士作業療法士の臨床実習に関する質問主意書

が直接的な引き金になったのは間違いないでしょう。


この国会質問を要約すると、以下のようになります。

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①学生に患者を受け持たせ、治療・訓練までを行わせている実態がある。これは「無資格診療」に当たるのではないか?

②実習指導内容が標準化されておらず、指導者の資格要件も不明確ではないか?

③近年の養成校乱立により、実習生の数に対して実習受け入れ施設の数が極端に少なく、養成校と実習先の対等な協議が困難。こうした背景から一部の実習施設では、実習と称して見よう見まねの非科学的指導や現代に合わない徒弟制度的指導が横行している。

④指導者からのパワハラ・セクハラ等、被害報告が多数あり。自殺事例も2件発生しているが、政府はこうした実態を把握しているか?

衆議院理学療法士・作業療法士の臨床実習に関する質問主意書』より一部要約し引用。

 
このような主意書が当時の民主党議員から提出された経緯については詳細不明ですが、PT・OTの「行き過ぎた実習指導」に対する苦情がかねてより厚労省等に多数寄せられていたことは事実のようです。


自殺事例については、私も以前関わりのあった近畿圏内の養成校の学生です。

それぞれ2008年・2013年に起こった出来事であり、私にとっても記憶に新しいものですが、恐らくはこのことが国会での問題提起につながったものと思われます。

 

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2.今こそ、実習指導のあり方を見直す時

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阿部知子議員(現・立憲民主党)は医師でもありますが、PTの臨床実習の実態について実際どこまで把握された上でご質問なさったのか、やや疑問に思うところもあります。

特に①の「無資格診療ではないか?」といったご指摘については、そう感じます。

これに対する政府側の答弁も、

「相当の経験を有するPTによる指導並びに患者同意の下、社会通念上許容範囲で、かつ安全性が確保されていれば、医師・看護師が実習で行う診療の補助と同様、違法性はない」


となっています。


ただし、その一方で「実習内容が標準化されておらず、実習指導者の資格要件も不明確では?」といったご指摘は、的を射ているとも言えます。

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事実、今までは「PTとしての臨床経験3年」だけで臨床総合実習の指導者になれるという緩さであり、研修の受講も必須ではありませんでした。

そうであれば、「相当の経験を有するPT」がきちんと指導していたのか? と疑われても仕方がありません。

 

また私自身、実習生の頃(20年以上前)には非科学的で根性論的な指導にさんざん痛めつけられたという苦い経験があります。

 


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指定規則(および『理学療法士作業療法士養成施設指導ガイドライン』)改正を受け、今回受講した講習会では、まだまだ十分とは言えないものの、ある程度の改善策が提示されました。

 

以下、国会質問に対応する形で要約します。

①学生による理学(作業)療法行為は「無資格診療」ではないか?
⇒学生に許容される理学(作業)療法行為の範囲とその水準の明確化。

②実習指導内容が標準化されておらず、指導者の資格要件も不明確。
⇒カリキュラムの追加(現行93単位→改正101単位)。
⇒臨床実習1単位(1週間)当たり40時間の遵守。
⇒指導者資格は経験5年+指定研修修了。

③養成校と実習施設との協議不足。非科学的・徒弟制度的指導の横行。
⇒養成校と実習施設の連携強化。
⇒「診療参加型臨床実習」の推奨。
⇒学生評価、および実習指導者評価手法の整備・確立。

④指導者によるパワハラ・セクハラ。
⇒ハラスメント教育・研修、予防・解決ガイドライン策定、相談窓口の設置等。

 


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ともかく、現場のPT・OTとしては過去の慣例にとらわれることなく、一度頭をクリアにして実習指導のあり方を考え直す必要があります。

以前はこの指導方法で良かったのに…といった言い訳は通用しません。

 

それを念頭に置いた上で、次回以降の記事では上記の改善策(案)の詳細について述べたいと思います。


前置きが長くなり誠に申し訳ございませんでした m(_ _)m

 

 

 

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