今回は、一定の経験を有するPTが他の職場へ移籍(以下、転職PT)するに際してのさまざまな留意点について述べたいと思います。
前回と同様、「選考者側の視点」から転職PTに求められる要素を考察していきますので、なにとぞご了承下さい。
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- 1.協調性・柔軟性…前職までのやり方に固執しない
- 2.「即戦力」になるための準備を
- 3.資格の取得と活用で、自身のスキルを明確に
- 4.面接における留意点…ポジティブな転職理由を!
- 5.応募書類の作り方について(参考資料)
1.協調性・柔軟性…前職までのやり方に固執しない
一般的な医療機関や介護施設のPTは、同職種&他職種とのチームプレイが常に求められます。
その観点から、転職PTにおいても「協調性」が第一要件として挙げられるのは当然でしょう。
ここで、もっとも注意すべきことがひとつあります。
※就職活動における留意点というよりも、「入職後の働き方」に関わることではありますが、参考までにご一読下さいませ。
◆外来・入院それぞれの実施時間帯
◆入院患者さんの送迎方法
◆外来患者さんの診療予約方法
◆実施件数(単位数)のノルマ
◆指示箋・計画書・カルテなど、書類の処理方法 etc…
同じPTの業務なのに、上記のようなことは「こんなにも違うの!?」と言いたくなるくらい、職場によって運用方法に差異があることも珍しくありません。
前職で3~5年も過ごしていれば、その職場特有の業務の流れにすっかり染まってしまっていることでしょう。
そうすると、新しい職場における違った仕事のやり方になじむのに案外苦労しがちです。
中には、明らかに合理的とは思えないようなやり方にも遭遇したりするので、
「前の職場ではこういう方法でやっていて、もっと楽だったのになぁ…」
と、ついつい前職と比較して不満を漏らしてしまうことも…。
しかし、その職場において一見不合理な運用方法になっているのには、それ相応の経緯にもとづく理由があるものです。
より合理的な方法を提案することは必要ですし、ある意味、転職PTに求められる要素とも言えなくはないのですが…。
ことさら前職の方法と比較して論じることは、下手をすると「非協調的」「批判的」と見なされる恐れもあります。
“郷に入っては郷に従え”
ことわざにもあるように、転職して最初の3ヶ月くらいの間は、その職場独自の方法になじみ、柔軟に対応することも「処世術」としては必要でしょう。
その上で、様子をみながら徐々に「前向きな提案」をしていけたらベターではないかと思います。
2.「即戦力」になるための準備を
職務において協調性が求められるのは基本的に新卒PTと同様ですが、一方、明らかに新卒と異なるのは、
「入職した翌日から(場合によっては当日から)診療業務をこなせる」
と見なされることです。
「即戦力」であることは「協調性」と同じく、転職PTには第一要件として必ず求められます。
その点で、相応のプレッシャーはかかると言ってよいでしょう。
例えば、前職が「回復期病院」で、次に「介護老人保健施設」へ転職するとしましょう。
応募者側からすると、
「老健は初めてなので、いちから学ばせて下さい」
そう言いたいところですよね。
しかし選考者側としては…
「リハビリを実施するという意味では一緒。それなりにこなしてくれるはず」
このように考えるのが自然です。
そうであるなら、
◆回復期病院と老健の「社会的役割」の相違
◆介護サービスとしての老健特有の業務の流れ
◆診療報酬と介護報酬の違い・制度の運用方法
上記のような「次の職場でPTとして求められる役割や、制度等のあらまし」を事前にしっかりとリサーチしておくことがどれほど重要であるか、お分かり頂けるかと思います。
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3.資格の取得と活用で、自身のスキルを明確に
即戦力が期待されるということは、すなわち「経験豊富なPT」として相応の能力があるだろうと見なされているわけです。
貴方がPTとして積極的にスキルアップを図ってきた「証明」であり、それを目に見える形で表せるのが、リハビリテーションもしくは医療・介護全般に関連する各種の資格です。
<介護・福祉関連>
介護支援専門員(ケアマネージャー)
福祉住環境コーディネーター2級
福祉用具プランナー
<医療ケア関連>
日本糖尿病療養指導士(CDEJ)
<PT協会認定資格>
介護予防推進リーダー
地域ケア会議推進リーダー
協会指定管理者(上級)
<その他(医師会・病院協会関連)>
「医療安全推進指導者講習会」修了
「個人情報管理・担当責任者養成研修会」修了
上記は、私が取得しているおもな資格・修了証です…なんか自慢っぽくて申し訳ございません(汗)。
「認定・専門理学療法士」などは持っていませんし、経験20年のPTとしてはまだまだと思っていますが…。
転職PTが応募する場合、履歴書とともに「職務経歴書」の提出を求められることも多々あります。
そこで取得している資格を記載しておけば、選考される上で「プラス評価」になるとは思います。
ただ、もっとも重要なのは、単なる「資格マニア」では意味がないということです。
私の場合、介護・福祉関連資格については、そこで得た知識を担当患者さんの在宅復帰等のために応用するとともに、職員教育(院内研修会や日々の指導など)にも反映させていました。
CDEJに関しても同様で、『糖尿病教室』など患者さんを対象とした集団指導や、職場教育のためにその知識を活用しました。
「医療安全推進指導者講習会修了証」については、所属病院で「医療安全管理者」として登録され、実務を行う上で必須のものでした。
個人情報の研修会修了証も、院内での役職に際し必要になったものです。
すなわち、
◆取得した資格を、いかなる形で実務に応用してきたのか
◆今後どのように活用し、患者さんや職場のために役立てたいか
上記のことを具体的に記載したり、面接の場で説明できないと、むしろ逆効果…となりかねません。
4.面接における留意点…ポジティブな転職理由を!
前述のように、これまでの職場で培ってきた知識・技術・経験に関してきちんと説明していくことができれば、それが最良の自己PRになり得るでしょう。
もちろん新卒者と同様、
◆患者さんの幸福を追求することが医療従事者のつとめである
◆そのために、これまでPTとして必要なスキルを磨いてきた
◆今後も貴院の一員として、チームワークを図っていきたい
このような観点で将来像を提示するのが望ましいと思われます。
一番注意すべきことは、必ず尋ねられる質問として「前職を退職する(した)理由」を問われた時の答え方です。
「人間関係が悪く、チームプレイを行える職場環境ではなかった」
まさかこんなストレートな言い方をする方はいないと思いますが…もちろんこのようなネガティブな退職理由は、マイナスの印象を与えてしまいます。
貴方にとっては「不可抗力な事実」であったとしても、選考者側からは「この人、非協調的で組織になじまないタイプかも…」という先入観を抱かれてしまう恐れがあるからです。
面接の場での「うそ八百」は、見透かされる可能性が高いです。
しかし、仮に「人間関係の齟齬」とか「給料が少ない」といった退職理由が背景にあるとしても、転職に際してはひとつでもポジティブな理由を見いだし、自分自身に言い聞かせることが大切です。
「将来、より多様な患者さんに接していくため、更なるスキルアップを図りたい」
「そのためには回復期だけでなく、老健で維持期・在宅リハビリなどの新たな経験もしていきたい」
このように、前向きな転職理由(志望動機)を表出できたら良いですね。
5.応募書類の作り方について(参考資料)
応募書類の作成方法についても記事にしようと計画してはいたのですが…。
なにぶん内容が複雑かつ多岐にわたるため、私の長々とした駄文よりも、むしろハローワークが発行しているパンフレットの方が参考になるかと思いますので、ご紹介します(丸投げして済みません…)。
☆こちらのページ⇒履歴書・職務経歴書の書き方
ここでは履歴書・職務経歴書の作成マニュアルはもちろんのこと、送付状や封筒の記載方法、またJIS規格の「Excel版 履歴書様式」などもダウンロードできますので、大変便利です。
私自身も転職活動にフル活用させて頂きましたので、内容的には申し分ないかと思います ♪
次回は、面接試験に向けての一般的な準備事項(新卒・既卒問わず)を確認していきたいと思います。
最後までご覧下さいましてありがとうございました <(_ _)>
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