ここからは、実際の面接試験の場でスムーズに受け答えができるよう、予想される質問について整理してみます。
厳しい臨床実習をくぐり抜けてきた新卒者や、すでに社会人経験のある転職PTの方々には「釈迦に説法」と言える内容ですし、以前の記事と共通する点もいくつかあります。
重複する部分は読み飛ばして頂けたらと思いますが、復習・再確認になれば幸いです。何とぞご了承下さいませ。
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1.いざ面接へ!
1)時間厳守
施設見学に関する過去記事(【理学療法士の就職活動:その3】施設見学のポイント…③当日の要チェック項目)でも述べましたが、面接当日は、遅くとも30分前には応募施設に到着しておきましょう。
そして、約束の5~10分前に指定の訪問場所へ訪ねるようにしましょう(あまり早く訪ねると、かえって先方に迷惑を掛けることもありますので)。
とにかく、余裕を持った行動が何よりも大切ですね。
2)基本的な態度
入室する際はノックし、「失礼いたします」と明朗に声を発しましょう。
着席する際は、面接官に「どうぞお掛けになって下さい」と勧められてからにします。
深く腰掛け、面接官の目をまっすぐ見て話しましょう。
話しながら髪や顔などを何度も触ったり、落ちつきなくキョロキョロするのは好ましくありません。
頻繁に時計を見るなど、時間を気にするのも良くないです。
緊張して汗をかく人は、ハンカチを用意しておきましょう。
2.想定問答
1)ほぼ必須の質問
①自己紹介
できるだけ簡潔に。ここで志望動機など詳しく述べる必要はありません(あとで必ず聞かれます)。
②職務経歴(転職PT限定)
職務経歴書の内容に準じて述べましょう。
PTも「10年選手」くらいになれば、協調性とともに、組織の中でリーダーシップを発揮することも求められます。
役職を経験していなくても、リーダー業務などの経験(単発でもよいので)があればアピールしておきましょう。
PT以外にも医療・介護に関連する資格を有していればそれに越したことはありませんが、仮に無かったとしても、前職でひとつでも何らかの役割業務を担っていたとしたら、それを自己PRとして最大限に活用しましょう。
資格が無いからといって卑屈になることはありませんよ。
③志望動機
これも、応募書類に記載した内容をそのまま述べれば良いです。
自己PRも交えながら、できるだけ具体的かつ端的に表現しましょうね。
いくつか例を挙げておきます。
「私はこれまで理学療法士(「PT」と略さない)として主に◯◯の業務に従事して参りましたが、地域医療の拠点である貴院の◯◯といった分野については、◯◯の面で大変魅力を感じておりました」
「前職(実習中)では◯◯に携わり、◯◯を身につけて参りましたので、◯◯の面では誰にも負けない自信があります」
「◯◯の業務において、自分の◯◯を活かすことを通じて地域の患者様(利用者様)に貢献し、貴院のお役に立ちたいと考え、応募いたしました」
※上記の例示は、ハローワークの資料を参考にさせて頂きました。
☆こちらのページ⇒履歴書・職務経歴書の書き方
④前職の退職理由(転職PT限定)
前々回の記事(【理学療法士の就職活動:その6】選考者側の視点で考える…②転職PTに求められるスキル)で述べたように、ネガティブな理由は極力避けましょう。
志望動機とからめて、
「新しい分野(環境)のなかで医療人としてより専門性を高め、多様な患者様・利用者様のために貢献したいと考えるようになりまして…」
このように、前向きな理由を表出することが望ましいです。
言い方はすごく悪いですが…「本音」と「建て前」は上手に使い分けましょうね。
2)よくある質問
①PTをめざしたきっかけは?
②どんなPT(医療従事者)になりたい?
これらは新卒PTに対して多い質問です。
PTをめざすきっかけそのものは、どのような理由であっても問題はないかと思います。
それこそ「親の勧めで入学した」でも構いませんが、実際にPTの学生になってみて、どのような心境の変化があったのかを説明することが大事です。
最終的に「医療の提供を通して地域社会に貢献したい」という気持ちがにじみ出ていればよいのです。
逆に、
「自分にとってやりがいのある仕事がしたい」
「対象者に感謝されたい」
といった「自分目線・自己満足」的な動機(現実としてそれも大切とは思いますが…)を前面に出すのは、あまり好ましくはありません。
③長所・短所・趣味・特技
PTに限らず、面接にはありがちな質問ですので、きちんと準備しておきましょう。
答え方は人それぞれで良いのですが、
「明るく社交的」
「協調性・気配り」
「探究心旺盛」
「粘り強さ」
このようなキーワードや、好印象を抱かせるイメージをさりげなく盛り込めたら良いでしょう。
3)ちょっと変化球
①最近関心を持ったニュース
社会人としての常識が試される質問とも言えますので、一応準備しておきましょう。
「芸能ネタ」「猟奇的な事件」などは基本的にNGではないでしょうか…。
医療・介護(制度)に関連するものであればベターでしょう。
②尊敬する人物
一般企業の面接では時々ある質問です。ここでは暗に、貴方の思想・価値観などが問われています。
私見ですが、「両親」など身内を例に出すのはあまり好ましくありません。
ましてや「苦労して私をここまで育ててくれたから」といった理由ではちょっと…(親を尊敬すること自体が悪いのではないですよ)。
どちらかと言うと「歴史上の偉人」などの方がまだ良いような気がします。
もちろんその理由も明確に説明できるようにしておきましょうね。
※2021.11.14追記:最近ではこのような思想・信条に関わる質問は就職差別につながるのでNGとされています。面接官の方々は十分気をつけましょう。
③成功・失敗体験
失敗体験はネガティブな話にならないよう注意しましょう。
「失敗は成功の元」という観点で、教訓的な失敗談があれば望ましいですね。
4)「逆質問」をする際には…
最後に、面接官から「何か質問はありますか?」と聞かれることがあります。
◆残業時間
◆公休数・有給休暇の消化率
◆離職率
◆職場の人間関係
このような事は、面接の場で採用担当者に尋ねるのはちょっと憚られますよね…。
できれば施設見学の際に、事前に聞いておきましょう。
「地雷を踏まない」尋ね方については、過去記事(【理学療法士の就職活動:その3】施設見学のポイント…③当日の要チェック項目)をご参照下さい。
①良くない逆質問例
◆「貴院の病院理念は何ですか?」
◆「どのような患者様が多いですか?」
両方ともNGです(苦笑)。
うちの病院に就職したいなら事前に調べとけよ…となります。
◆「どのような研修を受けられますか?」
こういうのも、応募者本人は前向きな気持ちで尋ねているのでしょうが、どちらかと言うと好ましくないとされます(「受け身的」ととられかねないので)。
これも施設見学の際に尋ねておきましょう。
②良い逆質問例
◆「前職(学生時代)では◯◯といった資格を取得するなどして経験を積んで参りましたが、貴院で働かせて頂くにあたって、他に必要なスキルなどがあればお教え下さいませんか?」
応募先で必要な要素を伺いながら、さりげなく「医療人としての意識・意欲の高さ」をアピールできますよね。
5)給与条件の交渉について(転職PT限定)
転職サイト(人材紹介会社)を通して応募している場合、給与の交渉を直接行うことはまず無いでしょう。
個人で応募している場合でも「年収◯◯万を希望します」といった交渉の仕方は、選考者側の視点に立った場合、好ましいとは言えません。
もちろん、履歴書の「希望欄」に希望年収をストレートに記載するのもNGです。
最初に「うちで出せるのはここまでです」と、採用者側から先手で給与条件を提示される場合も多いでしょう。
状況にもよるので一概には言えませんが、こちらから先に切り出すのは極力避けるのが無難です。
採用担当者から「希望は?」と尋ねられた際に、「前職では、おおよそ◯◯くらい頂いておりました」と提示した上で、相手の出方を伺いましょう。
※これ以上の「交渉術」を述べることは私の信条から逸脱するので、差し控えさせていただきます。どうかご容赦下さい。
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3.その他の留意点
◆集団面接の場合
複数人が同時に面接を受ける場合もありますよね。
この場合、他の応募者と比較される面もあり、ちょっと難しいと思われがちですが、基本は単独面接と変わらないので臆することはありません。
一番重要なのは、自分が述べたかった内容を、他の人が先に答えてしまった場合です。
これは私自身の失敗談でもありますが、
先ほどの方と同じなのですが……
と言ってしまい、面接官(女性事務長)から
貴方の考えを聞いてるのよ!
人のことはどうでもいいの!
と、その場で叱られてしまいました。
今思えば、「そんなに怒らなくても」と言いたくなりますが(苦笑)。
ちなみにその応募先は不採用でした…。
なので、「先に言われてしまったのですが」というような前置きは不要です。
他の人の発言に惑わされることなく、堂々と自身の考えを述べれば良いのです。
4.さいごに
例によって長々となり申し訳ございません。
以前も述べましたが、
「職場や患者さんが自分を育ててくれる」
「やりがいのある職場を選ぶ」
「貴院で働くことで、PTとして充実感を得たい」
このような考え方は、働くという行為においてはある意味真理とも言えますが、選考者側からは「自分中心で一方的」とも受け止められかねません。
基本コンセプトとしては…
「やりがいは与えてもらうのではなく、自身で探求するもの」
「患者さんや職場に貢献するために、自分には何ができるのか」
希望の職場に無事就職したいのなら、面接に際してはこのような観点で臨むのが良いでしょう。
※決して「社畜」のようになれ、ということではありませんので誤解しないで下さいね(今は選考者側の視点で考察しておりますので、悪しからず…)。
次回は、転職サイト(人材紹介会社)の利用についてのお話をしたいと思います。
最後までご覧下さいましてありがとうございました m(_ _)m
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