私が理学療法士の国家資格を取得したのは1998年。
現時点で27年のキャリアになります。
その大半は病院のリハビリテーション部門に在籍していましたが、現在は老人保健施設に勤めています。
まだまだ未熟者であることを痛感させられる日々ですが、いつの間にかベテランと呼ばれる領域になってしまいました😅
このシリーズでは、私なりにこだわってやってきた「仕事に対するポリシー(のようなもの)」を、つれづれなるままに綴ってみたいと思います。
《スポンサーリンク》
1.物事に興味をもつ
患者さんとのコミュニケーションを円滑に図るためには、時として「雑談力」が求められます。
スポーツや趣味など、エンタメ関係の話題は比較的差し支えがありませんし、患者さんの嗜好を探るという意味でもよく用いられます。
例えば、日本人(特に中高年以上)がよくテレビ観戦するスポーツといえば、プロ野球と大相撲。
私の場合、前日の各球団の試合結果や、主要な選手(力士)の活躍などを大まかに把握してから出勤するようにしています。
あとは、患者さんの贔屓の球団や選手といった趣向にあわせて話題をチョイスすれば、自然と雑談が弾みます。
もちろん、スポーツにまったく興味の無い患者さんもいらっしゃいます。
ここでは、「野球・相撲」を象徴的な意味合いで挙げているだけです。
スポーツに限らず、世の中のさまざまな出来事に対して幅広く興味・関心を持ち、常にアンテナを張っておくこと。
それが大切だと私は思います。
2.患者さんは医療者の「人柄」を観ている
理学療法士は皆、「話し上手」でなければならないのか?
いいえ、そんなことはありません。
患者さんと打ち解けて会話できればそれに越したことはありませんが、寡黙でも、質の高い医療を提供できれば、それで満足して頂けるとは思います。
私自身、対人コミュニケーションは苦手な方です。
ただひとつ言えることは、大概の患者さんは医療従事者を「人」として観ています。
医療に関する知識・技術はもちろんのこと、人柄・社会性といった要素も含めて、理学療法士のことをさりげなく評価しているものです。
要は、理学療法しか知らない「世間知らず」ではダメだということです。
3.回想法
理学療法士は、認知症の患者さんと接する機会がとても多いです。
認知症高齢者との会話でよく活用するのが、「回想法」です。
回想法とは、昔の思い出を振り返り、それを聞き手と共有することで孤独感を和らげ、情動の安定化を図る心理療法のひとつです。
脳の活性化を促し、認知症の進行を遅らせるなどの効果もあるといわれています。

先日、パーキンソン病で、軽度認知症をもつ高齢男性Aさんと接する機会がありました。
パーキンソン病では、顔や舌の運動障害で言葉が発しにくい(構音障害)とか、動作緩慢、反応の遅延などの症状がみられます。
Aさんの場合も、無表情でじっと車椅子に座っていることが多く、話しかけても返答があったり無かったり。
患者さんに関する情報には、病歴・服薬といった医学的情報はもちろんのこと、住環境・家族構成・職業などの社会的情報も含まれます。
Aさんについては、出身地が長崎県であるという情報が事前に得られました。
…ところで、Aさんのご出身は長崎県でしたね?
あぁ…。
先日は熊本で水害があって大変だったみたいですね。
長崎の方は大丈夫だったんでしょうか。
あ…そうね。どうかな…。
長崎でも昔、大水害があったんですよね。たしか1982年頃でしたか。
そうそう。
その時、Aさんのところでは被害はなかったんですか?
…その頃はもう、こっち(大阪)にいたから。
ああ、そうでしたか。
何歳の時に大阪に出て来られたんですか?
ええと…二十歳ぐらいかな。
Aさんぐらいの年代(昭和10年代生まれ)で、戦後、職を求めて大阪に出て来られる方々も多かったようですね。
ここ(老人保険施設)にも、九州ご出身の方が結構多いですから。
へぇ、そうなの…。
会話を続ける中で、Aさんは大阪で理容師免許を取得し理髪店を営んでいたこと、そして同じく職を求めて鹿児島県から出てきた女性と結婚し、2人の子を授かった…等のエピソードを引き出すことができました。
ちなみに、長崎で有名な観光地ってどんな所がありますか?
う~ん……。(熟考するも答えられず)
私は行ったことないんですけど、この前テレビで『眼鏡橋』のことを紹介してましたよ。あそこはどうですか?
あぁ、うん。まあ綺麗よ。
食べ物は? 私、ラーメン好きなんですよ。
長崎ちゃんぽんってやっぱりいいですか?
んん、美味しいねぇ🎵
私は、長崎県を訪れたことが一度もありません。
なので、あらかじめ長崎に関する一般的な情報(気候・観光名所・特産品など)をひと通り調べ、頭にたたき込んでおきました。
《スポンサーリンク》
4.事前準備は仕事の基本
先述のように、私はどちらかと言うと話し下手です。
それは理学療法士として特に卑下することでもありませんが、やはり雑談力が求められるケースもあります。
実際、雑談を足掛かりとして、患者さんの困り事や生活課題、希望・要望などを引き出せることも多いです。
いや、むしろそれが真の目的と言っても過言ではありません。
そうであれば、「自分は話し下手だから…」とあきらめるのではなく、職業人として可能な限りの努力はすべきだと思います。
医療従事者に限らず、どんな仕事でも事前準備は大切ですよね。
それでは、今回はこの辺で。
ご一読いただき、感謝いたします。
《スポンサーリンク》