すなおのひろば

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【PTのための接遇教育:その9】接遇ミニ研修『言葉づかいの練習③』

f:id:sunao-hiroba:20190703123638p:plainうっかり尊敬語と謙譲語を言い間違える事は、よくあるものです。
真心がこもっていれば多少の誤りはスルーされるとは言え、勘違いをそのまま放置しておくと、思わぬ恥をかくことも…(^_^;

医療従事者である前に、まず社会人として正しい敬語を身につけておきたいですね。

 

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1.『言葉づかいの練習③』全体の流れ

◆リーダー:おはようございます(敬礼)。

全員:「おはようございます(敬礼)」


◆リーダー:

ただ今より、接遇ミニ研修を始めます。

本日は、言葉づかいの練習です。


私が今から「患者様に対して話す言葉」を、正しい表現で言い直して下さい。

必要に応じて、クッション言葉も添えましょう。

それでは、始めます。


※ここから6名のスタッフをランダムに指名し、回答させます。

 

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◆リーダー:「今申されたのは、この書類の事ですか?」…◯◯さん、お願いします。

◯◯さん:「今おっしゃったのは、こちらの書類の事でしょうか?」


◆リーダー:「ちょっと分かりません」…△△さん、お願いします。

△△さん:「(申し訳ございませんが)私(わたくし)には分かりかねます」


◆リーダー:「分からない事があれば言って下さい」…▢▢さん、お願いします。

▢▢さん:「ご不明な点がございましたらおっしゃって(お申し出)下さい」


◆リーダー:「あの人はだれか知ってますか?」…◇◇さん、お願いします。

◇◇さん:「あちらの方はどなた様かご存知でしょうか?」

 

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◆リーダー:「顔色が悪いですけど、どうしましたか?」…☆☆さん、お願いします。

☆☆さん:「顔色がすぐれないご様子ですが、いかがなさいましたか?」


◆リーダー:「さっきの資料は拝見して頂けましたか?」…◎◎さん、お願いします。

◎◎さん:「先ほどの資料はご覧になりましたか?」

 

◆リーダー:

みなさん、どうでしたか?

正しい言葉づかいができるよう、日ごろから敬語に慣れ親しみましょう。


それでは、本日の接遇ミニ研修を終わります。

今日も1日、よろしくお願いします(敬礼)。

全員:「よろしくお願いします(敬礼)」

 

<以上>

 

2.実施上の留意点

 

1)正しい言い換えについて(補足)

 

①「言う」の敬語は?

◆丁寧語:言います
◆尊敬語:おっしゃいます(主語は相手)
◆謙譲語:申します or 申し上げます(主語は自分)

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⇒謙譲語は、自分自身が「謙る(へりくだる)」事で、相手の立場を上位にする敬語です。「申す」と「おっしゃる」は間違ってあべこべに使ってしまう事が特に多いので気をつけましょう。

⇒ちなみに、自己紹介の際などは「◯◯と申します」のように用いますが、行為の対象が居る場合は「私が患者様に申し上げました」というように使い分けるのが正しいです。

②自分では分からない(答えられない)事を聞かれた時は?

⇒「分かりかねます」「お答え致しかねます」といった表現がありますが、やや突き放すような冷たい印象を与えがちです。
f:id:sunao-hiroba:20190703151225p:plainなので、この一言で済ませるのではなく「(お手数ですが or 恐れ入りますが)△△にお問い合わせ(お尋ね)下さいませんか?」などの代案を添えると良いでしょう。

⇒「知らない」事を尋ねられた場合、「存じておりません(存じ上げません)」という表現も出来ますが、やはり代案(解決策)を付け加える事が望ましいです。

③「知っている」の敬語は?

◆丁寧語:知っています
◆尊敬語:ご存じです(主語は相手)
◆謙譲語:存じております or 存じ上げております(主語は自分)

⇒一般的な敬語のはずですが、使っている医療従事者は意外と少ないですね。自然に表出できるよう練習しておきたいものです。

④「見る」の敬語は?

◆丁寧語:見ます
◆尊敬語:ご覧になります(主語は相手)
◆謙譲語:拝見します(主語は自分)

⇒これも、尊敬語と謙譲語をあべこべに使いやすい典型例ですね。注意しましょう。

⇒「拝見させて頂きます」と表現する人が結構多いですが、厳密には二重敬語なので間違いのようです(諸説あるようですが…)。

⇒同様に「拝見致します」も二重敬語なのですが、こちらは何となく許容されているような気がします。敬語って難しいですね…。

2)スタッフの指名はランダムに・訂正はその場で

リーダーは、同じスタッフばかり指名することの無いよう、記録に留めておきましょう。

間違いはその場で訂正し、全員で共有するのが望ましいです。

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「言葉は生き物」と言われるように、敬語の使い方には正誤があいまいな面もありますし、前述のように「二重敬語」が慣例的に使われている場合もあります。

しかし、だからと言って基礎をおろそかにして良いというものではありません。
できるだけ正しい言葉が使えるよう、リーダー・スタッフ共にこの研修を「学びの場」にして欲しいですね。

 

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3.さいごに

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私の職場では、敬語に関するミニ研修の台本は20編以上作成していました。

しかしながら、当ブログで全部ご紹介するのはさすがにワンパターン(手抜き?)で気が引けるので、今回をもって『言葉づかいの練習』はひと区切りつけたいと思います(^^ゞ

この研修の主旨に賛同して頂ける読者様なら、『接遇マニュアル(4.言葉づかい)』を基に、各職場のニーズに合わせてさらに内容を膨らませていけることでしょう。

「自分の職場では、接遇の研修などマトモに行っていない」

「患者様(利用者様)にタメ口を使う職員が多くて困る…」

そんなお悩みをお持ちの医療従事者、特にリーダーシップを取るべき立場にある方々に、5分で出来るお手軽なミニ研修をおススメします♫

 


次回は『接遇ロールプレイング』の第3弾をご紹介する予定です。

最後までご覧下さいましてありがとうございました (*^_^*)/♪

 

 

www.sunao-hiroba.com

 

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