すなおのひろば

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【理学療法士をめざす人へ:その4】医療従事者の社会的役割…②目的と手段

f:id:sunao-hiroba:20181015203652p:plain昨今、病院の経営は非常に厳しいものになっています。

その理由は、簡単に言えば国の医療費を抑えるため診療報酬を引き下げる政策がとられているからですが、そういう状況の中では医療機関の本来果たすべき目的(社会に貢献する)と手段(病院が儲かり、経営者や従業員の生活が保障される)のすり替わりが起こりがちです。

 

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1.「目的」と「手段」のすり替わり

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医療の目的と手段を取り違えている典型的な例としては、必要不可欠とは思われない検査や手術の乱発、生活保護者ばかりを集めた過剰診療などによって診療報酬を稼ぐといった手法です。

残念ながら、そういったことは私が今まで勤めてきた病院でも起こっていました。

また、病床の稼働率(全ベッド数に対する入院患者数の割合)や外来患者数は病院経営に大きく影響するのですが、真夏や厳寒期のような病人が増加しやすい季節になると「もうそろそろ患者が増えてくる時期かなぁ…」などと、他人の不幸を期待するような不謹慎なことを口にする職員もいます。

そのような発言には、患者さんに対する謙虚さとか思いやりなど微塵も感じられません。

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そうやって患者数が増えることを望む一方、在院日数を抑えるために、入院患者を充分にフォローしないまま半ば強引に退院させようとすることも珍しくありません。

これは、一定期間を超える入院に対しては診療報酬が大幅に逓減される(もちろん国の医療費抑制のため)という制度上、患者さんの入院が長期になればなるほど病院にとっては大きな損失となるからです。


過剰な検査や手術と同様、リハビリテーション医療においても、その内容や質を問う以前に、「リハビリやそれに付随する加算項目を何件実施して、どれだけ稼げたか」ということを理不尽なまでに要求する経営者も少なからず存在しました。

f:id:sunao-hiroba:20181020120625p:plain以前のブログで、一般企業を経験したことのある人が「売る必要性を感じないような商品を営業して売り回る日々だった。それに対し、PTはやりがいがあると思った」と志望動機を語ったことを述べました。

しかし残念ながら、医療の世界にも「売りたくないものを売らされる」という現実があります。

これを「必要悪」のように感じているのが、一部の病院経営者や医療従事者にとっての本音なのかも知れません。

そういった病院経営者たちが異口同音に発するのが、

「地域医療が大切といっても、まず病院が儲からないことにはどうしようもない」


このような言い分です。

たしかに病院がつぶれてしまえば、そこで地域医療を展開するどころではありませんから一理あるとも言えます。

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しかし人間は弱い生き物で、地位や権力、お金といった煩悩・欲望にはなかなか勝てないものですし、つい自分本位になりがちです。

その結果、目的と手段があいまいになったり、時としてすり替わることもあり得るわけです。

 

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2.本当に「適切な医療」を提供できているか?

また、ここでは詳しくは述べませんが、医療機器・医薬品メーカーといった医療に関連する企業がらみの利権も、医療費を増大させ、国民の利益を損なっている大きな要因と思われます。

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そして他にも、寝たきり高齢者に対する過剰な延命治療といったことも、現代の日本においては重大な問題となっています。

これは必ずしも病院側の「金もうけ主義」だけが要因ではありませんが、いずれにせよ国民のニーズにまったくそぐわない(患者さん自身にとって幸せとはとうてい思えない)にもかかわらず、いっこうに無くなることのない代表的な「売り物」です。

これら医療にまつわる負の側面については、超高齢社会における国民皆保険制度のあり方や、医療に群がるさまざまな利権構造など、複雑な要素がからみあっているように思われますので、医療従事者の意識改革や努力だけでは解決し難い問題ではあります。

しかし、だからこそ私たち医療従事者は「国民に対して本当に適切な医療を提供できているか?」とか、「自分たちのやっている事は本当に世の中のためになっているのか?」といったようなことを常に自問自答し、本来の社会的役割をしっかりと認識しながら日々の業務に臨む必要があるのです。

 

3.「真の雇い主」は、国民

医療機関を経営している主体者としての「理事長」や「院長」といった人たちは、医療従事者から見て「雇い主」であり、組織の階層構造の中では逆らうことのできない上位者だったりします。

医療従事者の方々や、これからなろうと考えている方々に対して私が声高に言いたいのは、こういった人たちはあくまでも役割上の「仮の雇い主」であって、国家資格を有する医療従事者にとっての「真の雇い主」は、国民だということです。

上位者の命令に異を唱えたり、経営方針に反する意見を述べたりするのはなかなか勇気のいることではあります。

しかしながら、医療機関は反社会的宗教団体とは違いますし、病院経営者は絶対服従の教祖様でもありません。

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そういう意味では、目の前にいる患者さんに対し誠意をもって良質な医療を提供するよう努めるのはもちろんのこと、「仮の雇い主」が医療機関の本来の目的から逸れたり踏み外してしまうことのないよう、適切に監視する必要があるのではないでしょうか。

 

 

www.sunao-hiroba.com

 

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