すなおのひろば

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【理学療法士をめざす人へ:その7】理学療法士のお仕事…③理学療法とは(手段)

f:id:sunao-hiroba:20181102163659p:plain前回の記事では、理学療法の定義をベースとして、その対象と目的について述べました。

今回も引き続き、法的解釈と実状との相違も踏まえながら、どのような手段を用いて対象者にアプローチするのかをお話しします。

 

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1.理学療法の手段

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前回と重複して申し訳ありませんが、まずは法的解釈としての「理学療法の定義」を再確認しましょう。

理学療法士及び作業療法士法 第二条 一項>

身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えること」

ここで記されている「基本的動作能力の回復を図る」ための手段とは以下のようになります。

①治療体操その他の運動を行わせる(=運動療法

②電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加える(=物理療法


前回述べたように、この定義は「理学療法士及び作業療法士法」が制定されて以降、全く変更を受けていないため、現在の理学療法士の職務内容を十分に反映しているとは言い難いです。

実際には、もうひとつ不可欠な手段があります。

③動作を習得するために繰り返し練習させる(=動作訓練


対象者へのアプローチ方法として、これら3つの手段こそがPTのおもな技能、「三種の神器」であると言ってよいでしょう。

運動療法

運動療法とは、ザックリと言えば「運動機能障害を、運動そのものによって回復させる(もしくは、予防する)こと」です。

さまざまな方法・手技がありますが、ここでは代表的なものを紹介します。


<関節可動域運動>
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骨折・ギプス固定などにより関節を長期間動かさないでいると、関節周囲の軟部組織*1が硬化して可動範囲が狭くなってしまいます。

それを改善するために、当該関節を繰り返し曲げたり伸ばしたりすることによって 徐々に動く範囲を拡げていきます。


<筋力増強運動>
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ギプス固定や長期間の寝たきり等によって筋肉の線維は確実にやせ細り、筋力が落ちてしまいます。

当該筋肉に適度な負荷をかけることによって、筋力の回復を図ることができます。いわゆる「筋トレ」のことです。


<神経筋再教育>
f:id:sunao-hiroba:20181103131438p:plain脳卒中パーキンソン病などの「中枢神経疾患」では、脳内の神経細胞のネットワークが混乱し、脳と身体各部との協調が崩れて、胴体や手足を自由にコントロールすることが難しくなります。

「運動麻痺」とか「協調運動障害」といったものがこれに当てはまりますが、感覚器官や神経・筋に対し適切な刺激を反復入力するなどして、そのような状態の改善を図ります。


②物理療法

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読んで字のごとく、自然界に存在している物理的な力(熱・光・電磁波など)を利用して、身体の痛みや関節の硬さなどを改善する手法です。

詳細はここでは割愛しますが、温熱療法・光線療法・超音波療法・電気刺激療法などがあります。

※そもそも、理学療法とは「物理学的な(physical)治療法(therapy)」という意味であり、前述した「運動療法」も、物体に作用する重力や力学的法則を応用した治療法といえます。
そういう意味では、理学療法(士)の法的定義が「運動療法」と「物理療法」の2つに絞られているのは、妥当であると言えなくもありません。

③動作訓練

例えば膝の関節が90°以上曲がらなくなったり、ふとももの筋肉が落ちたりすると、低い椅子とか床からの立ち上がりが難しくなります。

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そういう場合、「低い座面や、床から立つ際の上手な身のこなし」を再学習させるとか、今までとは全く違うやり方で立ち上がれるように指導するといったことを行います。

すなわち、動作訓練とは、生活のなかで必要な動作を「実用的に使える」ようにするための稽古です。

 

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2.その他の手段

以前の記事でも述べましたが、高齢であったり、疾患・外傷の後遺症などによって、運動療法・物理療法・動作訓練といった主要な3つの手段を駆使しても十分な改善が見込めず、目的とする「生活動作の実用性獲得」が達成できないことも多々あります。

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そのような場合でも、失われた機能を代償(補助)できるように、住環境の整備や福祉用具の適合などを提案するといったことも、PTのアプローチ手段として重要な要素になります。

また、患者さんのご家族や介護職の方々に、適切な介助・介護の方法を助言・指導することも大切な任務のひとつです。

 

理学療法とは…全体のまとめ>

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理学療法の対象:
⇒身体に障害のある人。
⇒認知機能の低下により日常生活に支障をきたしている人。
⇒高齢者や生活習慣病など、運動機能低下の恐れがある人。
⇒スポーツ選手・スポーツ障害など。

理学療法の目的:
⇒基本的動作能力の回復(寝返り・起き上がり・立ち上がり・歩行など)。
⇒応用的動作能力の回復(食事・排せつ・入浴・書字など)。
⇒加齢や生活習慣病による運動機能低下の予防・改善。
⇒スポーツ選手の競技パフォーマンス向上。
⇒スポーツ障害の予防・改善。

理学療法の手段:
運動療法(関節可動域運動・筋力増強運動・神経筋再教育など)。
⇒物理療法(温熱療法・超音波療法・電気刺激療法など)。
⇒動作訓練(立ち上がり・歩行など、生活に必要な動作の練習)。
⇒物的・人的環境整備の提案。
⇒患者・家族等への助言・指導。



私たちPTは皆、「動作の専門家」であることを自認していることと思います。

f:id:sunao-hiroba:20181104134745p:plain運動療法や物理療法・動作訓練・環境調整といった手段を行うための各種知識・技術はもちろんのこと、動作が困難になっている要因を適切に把握するための「評価力」や、患者さん・ご家族の方々等に対して分かりやすく助言・指導するための「コミュニケーション能力」が、PTには求められていると言えるでしょう。


また前回の重複になりますが、

www.japanpt.or.jp


理学療法士ガイド 理学療法士ってどんな仕事?


などを閲覧して頂くと、より端的で分かりやすいと思いますので、ぜひご参照下さい。

 

 

www.sunao-hiroba.com

 

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*1:関節を包み込む「関節包」や、補強バンドとしての「靱帯」、動力としての「筋肉」など。