すなおのひろば

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【理学療法士をめざす人へ:その9】理学療法士の適性とは…②興味をもつこと

f:id:sunao-hiroba:20190524130606p:plainなかには教員や研究者としてご活躍されている方もいますが、ごく一般的な臨床・介護現場(病院や老人保健施設など)のPTは、患者さん・利用者さんといった生身の人間とじかに接する機会が多いです。

これは医師・看護師・薬剤師など、他の医療従事者と比較してもそう言えるのではないでしょうか。

 

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1.人間そのものに興味をもつこと

しがに接する機会が多いということは、すなわちコミュニケーションを取っている時間や身体に触れている時間が長いということですので、「人間が好き」であればそれに越したことはありません。

私の知り合いのPTにも、「お年寄りが好き!」と公言する方がいらっしゃいます。

f:id:sunao-hiroba:20181030120842p:plain病院や介護施設に勤務する一般的なPTにとっての対象者は大半が高齢者といえますが、その人は高齢者と接する時はいつもニコニコして楽しそうです。

対象者である患者さん・利用者さんのほうも、医療従事者が「好意をもって献身的に」接してくれているかどうかをちゃんと観察し、感じ取っているものです。

ちなみに私はどうかというと、物事を斜めから見るひねくれた性分であるがゆえ、ヒト特有の性質としての「本音と建て前を使い分ける」とか「傲慢」「妬み深い」「環境を汚す(自然を自然のままで置いておけない)」などの、さまざまな醜い面に目が行きがちではあります。

ただ、純粋に人を好きにはなれないものの、良い面も悪い面も含めて、ある意味「人間に興味をもっている」とは言えるでしょう。

無理に人間を好きにならなくてもよいのですが、人の為す業というものに興味をもつことは必要で、それが日常業務の中での患者さんとのコミュニケーションとか、医療者にとって重要な「観察力」にもつながるのではないかと思います。

 

2.コミュニケーション能力が高いこと

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前項の「人間に興味をもつ」ということとも関連していますが、やはり人見知りせず誰とでも会話できること、好き嫌いや分け隔てなく他者と接することができる人は、病院・施設等のPTに向いていると言えます。これは「対患者さん」だけでなく、他の職種の方々と連携を図るという意味でも重要です。

相手の顔色、心の機微を読み取りながら会話のキャッチボールができること。言い換えれば、相手に応じて対処方法を変えられることが大切であり、会話の中でアドリブを駆使できる人は「コミュニケーションの柔軟性が高い」わけで、優れた医療従事者になり得るでしょう。

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逆に、普段から室内にこもりがちで他者と接することを意図的に避けようとする人や、SNSなどでは自分の気持ちを伝えられても、面と向かって話をするのは苦手、といった人は、PTになれないというわけではありませんが、そうとう苦労するのではないでしょうか。

ただし、「人間が好き(or 興味がある)かどうか」ということについては、感覚的・感情的なものであるため、根本的に考えを改めるのは難しいかもしれませんが、コミュニケーション能力は努力すればある程度鍛えることができるとも言えます。

なぜなら、コミュニケーションは感情に支配される面も確かにありますが、同時に技術的な要素も大きいからです。

私自身は、実習生だった頃、初めて患者さんと接した時に何をどのようにしゃべったらよいのか分からず途方に暮れ、自分のコミュニケーション能力の無さに絶望したものですが、それでも場数を踏んでいくうちに「話を聴くときの表情・態度・立ち位置」とか「話すときのタイミング・スピード・声量・声質・言葉づかい」などの技術的要素が身についてきたように思います。

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そもそも、「コミュニケーション能力が高い」というのは「芸人のように饒舌で、人を楽しませる話術がある」という意味とは違いますし、その必要もありません(しゃべり過ぎる療法士が患者さんに嫌われることも結構あります)。

確かな知識と技術、洗練された接遇、そして誠意があれば、伝わる人にはちゃんと伝わるものです。

饒舌であるかどうかはともかく、前述したように「心の機微を読み取る」こと、すなわち対象者に興味を持ちつつ、相手の立場や考えを尊重して接することこそが大切だと考えます。

そこにコミュニケーション技術が加われば、さらに意思疎通がスムーズに運ぶでしょう。

その上で、「ただ患者さんの気持ちに寄り添う」とか、逆に「医療従事者の考えを押し付ける」といった両極端になるのではなく、客観的(第三者的)にかかわることができる人こそが、もっともコミュニケーション能力の高いPTと言えるのではないでしょうか。

 

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3.人間のからだに興味をもつこと

人体の構造や機能など、人間のからだに興味をもつことは医療従事者の基本でしょう。

f:id:sunao-hiroba:20181111130504p:plainある実習生の指導を担当した時のことです。

彼は解剖学や運動学が苦手だったのですが、「自分は親に勧められて学校に入ったので、人間のからだにはあまり興味がない。だから、一生懸命勉強してもなかなか覚えられない」といった主旨のことを言っていて、私としては少し困惑したものです。


以前にも述べたように、仕事というものは自分が楽しく、興味があることだけをしていれば良いというほど甘いものではありません。

私がこの記事であえて「興味があること」ではなく「興味をもつこと」としているのは、「どんなきっかけで養成校に入学したか」とか「生まれ持った適性が有るか無いか」はともかく、いったん職業として選んだ以上、医療に必要な知識や技術には努めて興味をもつべきだと思うからです。

「興味がないから覚えられない」のであれば、人の2倍・3倍勉強すればよいのです。

ちょっと手厳しいことを申し上げましたが… 養成校で学ぶ「解剖・運動・生理()」といった主要3基礎医学に加え、各種疾患学・治療学など、講義のなかで暗記・詰め込み的に覚えるだけでなく、健康関連のテレビ番組やネット・新聞記事なども、意識して視聴するよう心掛けてほしいものです。

理学療法士をめざす人にとって特にしっかり学んでおきたい科目については、また機会を改めて記事にしようと思っております。

 

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下手をすると、「ためして◯ッテン」などをご覧になっている患者さんの方がよく勉強していて、

「あの番組で、腰痛には◯◯が良いって言ってたけど、実際どうなんですか?」


などと質問されることもよくあります。


そういう時に、

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「ええ、私もそれ見ましたよ。確かに◯◯は良いと言われていますが、患者さんの場合はですね、△△の方がイイですよ。その理由はですね…」


と即答できれば、信頼感もまた違ってくるというものです。

 

 

www.sunao-hiroba.com

 

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