今回は、理学療法士(以下PT)養成校の学生だった25年前まで遡り、道端で倒れていた人の救護に当たった事例を振り返ります。
まだ経験不足だったこともありますが、不測の事態を目の前にすると慌ててしまいますね。
ベテランと呼ばれるようになった今でも、職場(病院・施設)以外の場所で急変患者に対処するのはなかなか難しいです。
※当記事は応急手当について正確にレクチャーするものではありません。より専門的に学びたい方々は下記のウェブサイト等をご参照下さい。
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1.対応の一部始終について
時は1997(平成9)年2月下旬のAM6:30頃。
寒い朝のことでした。
私はPT養成校の学生で、その日は臨床実習の2日目。
当時は兵庫県尼崎市に在住していたのですが、実習先は京都府の某病院。
片道1時間半の道のりです。
自宅から最寄り駅まで自転車で急いでいたところ、道端に人が倒れているではありませんか!
1)状態の確認
70歳前後の女性とお見受けしました。
自転車を降りて近寄り、話しかけてみます。
だっ、大丈夫ですか?
…あ…あうあ~……。
意識はありますが、言葉は不明瞭で呂律(ろれつ)が回らない様子。
左の手足はもぞもぞ動かしているものの、右半身は力無くダラリとしている。
まだPTのタマゴだった私でも、どうやら脳卒中を発症しているようだと分かりました。
寒い朝は屋内外の気温差が大きく、脳卒中や心筋梗塞を起こしやすいものです。
右半身麻痺の場合、病変は左脳。
左の大脳半球には言語中枢があります。
発語が困難なのは顔面の麻痺によるものだけでなく、失語症も発症していると考えられます。
2)助けを求める・救急車の要請
現場は閑静な住宅街。
早朝のため人通りはわずかです。
えっと、おうちはどこですか?
お名前は?
ら…らむら…。
田村さん(仮名)……ですか?
ら…ら…。
すぐ近くの長屋の住民に助けを求めようと思いました。
ふと表札を見ると、『田村』とあります!
迷わずインターホンを押しました。
あ、あの、田村さん?
外で女の人が倒れてるんですけど、ご家族の方でしょうか?
……はぁ? ちゃうで。
わあっ、違ったか😓
あっ、すみません!
え~と…倒れてる人がいるので、すぐに救急車呼んでもらえませんか!?
当時は私を含め、携帯電話を所有している人もほとんどいなかったのです。
3)ご家族現る・救急車到着
私は倒れた女性に付き添っていました。
まずは傷病者の安全確保が鉄則ですが、交通量は少なく、道端に寝ていても車に轢かれる心配は無さそうです。
バイタル(呼吸・脈拍・顔色etc)の確認も重要ですが、なにぶん昔のことなので覚えていません。
おそらく、ちゃんと確認できていなかったのではないでしょうか。
ただ、意識はあるが言葉が出にくいこと、右半身が麻痺し起きられないのは明白です。
そうこうしているうちに、田村さんを始めご近所の方々がちらほらと現場に出てきました。
あっ。この人、◯△さんとこの奥さんちゃうか?
まもなく、◯△さんの旦那様とおぼしき人がやって来ました。
何と、倒れている奥様をユサユサ揺らして立たせようとします…。
おい、こんなとこで何やってんねん。
はよ立たんかい! 家に帰ろ!!
ちょっ、ちょっと待って~~~💦
あっあの~、まだ起こさない方がいいですよ!
脳卒中かも知れませんから…。
……………💢
ほどなくして救急車が到着しました。
ハッキリ覚えていませんが、通報から10分も待たなかったと思います。
※平均到着時間は、最近の統計では約8.7分のようです。
◯△さんが旦那様とともに搬送されて行くのを横目で見ながら、私はそそくさと現場を立ち去りました。
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2.反省点
幸い、実習病院には始業前に到着できました。
正直に告白しますが、救護中にひたすら考えていたのは、
実習2日目から遅刻か。参ったなぁ…💧
ということでした。
言い訳になってしまいますが、当時のPTの実習教育は怖ろしく厳しいもので、現代の基準なら間違いなくパワハラのレベルでした。
もちろん遅刻や欠席などまかりならぬ。
レポートを仕上げるため、連日の徹夜も当たり前の世界です。
養成校の教員からも、
体調不良? 這ってでも行け!!
というお達しがあったほど。
あとで考えれば、傷病者の救護をしていたのだから遅刻扱いになどならないはず。
しかし、当時は冷静に物事を判断できないぐらい酷い実習環境だったのです。
自身の救護対応を総括するいとまも無いまま過酷な実習に飲み込まれていった私でしたが、いま思えば、
◆傷病者の状態を確認したら、すぐに大声で助けを呼ぶ。
◆バイタルの確認、安全な体位の確保。
などなど、反省すべき点は多々ありました。
あえて褒められることと言えば、実習先が遠方だったこともあり、相当早めに出発していたことでしょう。
偶然の巡り合わせではありますが、おかげで傷病者をいち早く発見することができ、迅速な救護につなげられたとも言えます。
何事も時間に余裕をもって行動することが大切ですね。
その後無事に治療を受け、リハビリに励んでいらっしゃったことと思いますが、当時は◯△さんの安否を心配する余裕もありませんでした。
今さらですが、この場を借りてお詫び致します。
申し訳ございませんでした m(_ _)m
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