おてがる筋トレシリーズ第3弾は、壁腕立て伏せです。
中高年の方々にみられる『五十肩』は、加齢により肩関節周囲の筋肉の協調性が低下することが原因のひとつとされています。
私自身も、右肩の『腱板(けんばん)損傷』に長年悩まされてきましたが、この運動を続けることで痛みはずいぶん楽になりました ♪
小さな大横綱・千代の富士も、腕立て伏せで肩の脱臼癖を克服したのはよく知られています。
肩の疾患による痛みにお悩みの方々には、とくにおススメのメニューです!
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1.『壁腕立て伏せ』…実施方法
いつも通り、運動処方の4要素に従ってご説明します。
1)運動の種類(方法)
やり方は簡単!
まずは壁に向かって立ちましょう。
①腕を伸ばして立つ
⇒両手は肩幅くらいに広げ、まっすぐ前につきましょう。
⇒両足は肩幅くらいに広げておきましょう。
②胸を近づけて…
⇒両手の間に「胸を近づける」ようなイメージで、腕を曲げましょう。
⇒そうすると、お尻を突き出すことなく体全体が傾いていきます。
③ゆっくり元に戻る
⇒腕をまっすぐ伸ばしましょう。
⇒①~③まで、少なくとも3秒程度でゆっくり行いましょう。
これの繰り返しです。
2)運動の強度(負荷量)
ご自身の体重が負荷になります。
肩・肘・手首に痛みのある人は、少し壁側に近づいたところから始めてみて下さい。ちょっと負荷が軽くなります。
その場合、腕は完全に伸ばさなくても結構です。
3)運動の回数
まずは、1セット10回くらいから始めてみましょう。
※「腕を曲げる→伸ばす」で1回のカウントです。
実施した翌日に関節痛や筋肉痛がなければ、さらに15~20回くらいまで増やしてみましょう。
4)運動の頻度
◆1日あたり:2~3セット(朝・昼・夕)
⇒厳密に決める必要はありませんが、できれば2セットは行いましょう。
⇒デスクワークの合間などに実施すると、首~肩凝りの防止にもなりますよ ♪
◆1週あたり:3~4日(1日おき)
⇒中高年以上の方は関節痛・筋肉痛も考慮して、1日おきに行うと安全です。
⇒慣れてきたら、毎日行うとより効果的です。
2.運動の効果
主に作用しているのは、二の腕・胸・肩周辺の筋肉です。
効果・効能は以下の通りです。
1)筋力UP&協調性の向上→肩の痛みの軽減
最も強く活動しているのは、二の腕の後面(上腕三頭筋)・胸(大胸筋)・肩(三角筋)です。
それに加え、「腱板(けんばん)」と呼ばれる細く薄い筋群が協調して働いており、これがスムーズな肩の運動を可能にしています。
壁腕立て伏せ運動によりこれらの協調性が高まると、結果として肩の痛みの軽減にも繋がります。
2)首~肩凝りの軽減
デスクワークが多い人などは、長時間同じ姿勢を取ることにより血液循環が悪くなりがちです。
そうすると、
「疼痛物質が同じ部位に蓄積→筋肉の硬直→血液循環の悪化」
このような悪循環が生じてしまいます。
適度な筋肉の収縮・弛緩を繰り返すことで循環が改善→疼痛物質を血液に乗せて流し、凝りを改善させることができます。
3.効果判定
1)実施回数の増加(筋力UP)
筋トレを始めて2週間ほど経過すると、開始当初より少し楽にできるように感じられます。
これは、筋肉を支配している神経の協調作用が向上するためであり、筋肉自体には変化はほとんどみられません。
筋線維そのものが太くなる(筋肥大)ことによって筋力がUPするのは、だいたい4週以降とされています。
ですので、1ヶ月経過したところで実施回数を上方修正するのが妥当でしょう。
下の写真のように体を前傾させることでさらに負荷が上がります。中高年以下の方々なら、1ヶ月後にはこれくらい負荷を強くしても大丈夫でしょう。
最終的には、『床腕立て伏せ』ができるようになれば理想ですね…。
ただし、関節に痛みのある人や、血圧が高めの人などは決して無理をしないで下さいね。
2)肩の痛みの軽減&可動性UP
筋の協調性が向上することで肩関節全体の動きがスムーズになり、痛みの軽減と可動性UPに繋がります。
五十肩その他の肩関節疾患をお持ちの人は「完全に痛みが無くなる」までは難しいかもしれませんが、ある程度コントロールできるようになるでしょう。
ちなみに私は30代の頃から腱板損傷による痛みに悩まされてきましたが、40代から壁腕立て伏せを積極的に行い(最初の頃は10回で精一杯でしたが)、痛みは明らかに改善しました。
現在は、床腕立て伏せを連続30回×1日2セット行っています。
4.実施上の注意点
1)お尻を突き出さないように
ある程度は仕方ありませんが、なるべくお尻を突き出さないようにしましょう。
実施方法のところで述べたように、顔ではなく「胸を近づける」ようなイメージで腕を曲げると、お尻を突き出すことなく体全体が傾いてくれます。
2)左右均等・両手は肩幅に
なるべく左右均等に体重をかけるよう意識しましょう。
両手は肩幅くらいを基準にしましょう。
肩幅よりも広げると、胸の筋肉(大胸筋)に負荷がかかります。
逆に肩幅よりも狭くすると、腕の筋肉(上腕三頭筋)に負荷がかかります。
上記のことから、バストアップをお望みの女性の方々に「両手を広げた腕立て伏せ」を勧めることもあるようですが…。
残念ながら、少しぐらい大胸筋の筋肉がついたところで容易にバストアップなど望めないとは思います。
ですので私個人としてはとくにおススメしませんが、どうしても大胸筋を意識して鍛えたいなら、肩幅よりも「握りこぶし1個分」くらい広げてみても良いでしょう。
3)疾患をお持ちの方は
◆筋肉痛・関節痛
◆動悸・息切れ・めまい・冷や汗 など
運動後にこれらの症状が悪化するようなら、負荷が強すぎるか、適応外の可能性があります。
とくに肩関節疾患の急性期(痛みが出始めて2~3週以内の時期や、夜間もうずくような激しい痛みがある場合など)には、積極的な筋トレは避けて下さい。
また、上半身の筋トレは血圧の急激な上昇をまねくこともあります。
実施する際は、
①息を止めてリキむのは避けましょう。
②勢い・反動をつけて行わないようにしましょう。
何らかの疾患を有しており現在医療機関にかかっている方は、当該筋トレの適応(やってよいかどうか)について必ず医師にご相談下さい。
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5.まとめ
◆種類:壁腕立て伏せ
◆強度:自分の体重
◆回数:10回(翌日の状態に問題がなければ15~20回へ)
◆頻度:
⇒1日あたり2~3セット(朝・昼・夕)
⇒1週あたり3~4回(毎日できれば効果的)
◆運動の効果:
⇒筋力UP。
⇒協調性向上・肩の痛みの軽減。
⇒首~肩凝りの軽減。
◆効果判定:
⇒実施回数の増加(筋力UP)。
⇒肩の痛みの軽減&可動性UP。
◆注意点:
⇒なるべくお尻を突き出さないように。
⇒左右均等・両手は肩幅を基準に。
⇒急性期には、積極的な筋トレは避ける。
⇒息をこらえて行わない・反動をつけない。
⇒疾患をお持ちの方は医師に相談を。
いかがでしたか?
若年者から高齢者まで、全ての年齢層の方々に気軽に行って頂けるような「おてがる筋トレメニュー」をこれからもご提供していきたいと思います。
最後までご覧下さいましてありがとうございました~ 🎵
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