すなおのひろば

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【職場での出来事:その5】新型コロナ感染対策について

f:id:sunao-hiroba:20200502120351p:plain今回は、私が勤務している介護老人保健施設(以下、老健)における新型コロナ感染防止対策の現状についてお伝えします。

私は理学療法士(PT)ですので、主にリハビリスタッフの観点から記述しています。
そのため内容に不十分な点もあるかと思いますが、何とぞご了承下さい。

 

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1.入所者のリハビリ実施場所について

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当施設は、以下のような配置になっています。

3~4階:入所フロア

2階:通所フロア・浴室

1階:リハビリ室・リハスタッフルーム


普段は、入所・通所の利用者さん共に1階リハビリ室までエレベーターで護送し、リハビリを実施しています。


ただし冬季になると、入所者は居住スペースである3~4階フロアで実施することが多くなります。これはインフルエンザ等の流行状況に応じて行われます。

例年であれば、遅くとも4月頃になるとこの措置は解除されますが、今年は新型コロナ感染拡大に伴い5月以降も継続しています。


理由は言うまでもありませんが、通所者との混合を避けるとともに、階をまたぐ移動を極力制限するための措置です(浴室は共用なので厳密な分離は不可能)。

 

ちなみに他の介護施設と同様、ご家族との面会も現在は禁止されています。

f:id:sunao-hiroba:20200502125046p:plain最近ようやくSkypeを用いたオンライン面会が行なわれるようになりましたが、時間は5~10分と限られています。

入所の利用者さんのストレスも徐々に増してきているようで、ご不便をお掛けしている次第です。

 

2.リハスタッフを入所・通所にチーム分け

老健では主に3種のリハビリサービス「入所・通所・訪問」を提供しています。

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訪問リハビリは常時専従スタッフが行っています。

一方、入所・通所については担当を区別していないため、同じ療法士が1日のなかで両方の利用者さんに介入するのが普通です。

これは例年のインフルエンザ流行時期でも同様でした。

これまでは大きな問題は無かった(?)のでしょうが、今回はそういうわけにもいきません。


遅まきながら、4月下旬から担当者を入所・通所で完全に分離する措置が取られ、私は3階の入所者専従になりました。

もともと少ない人員のなかで、やりくりはさらに難しくなるのですが仕方ありません。


正直なところ、この措置はもっと早くから行われるべきだと私は考えていました。

それが、なぜ4月下旬になって急に?

 

近隣のリハビリ病院(回復期リハ病床を中心とした医療機関)や他地域の介護施設で起こった集団感染が、当施設の運営者には大きなインパクトになったようです(今さらですが…)。

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病院でリハビリ業務を行う療法士は、複数の病棟あるいは外来までも転々と渡り歩きながら診療を行うのが普通であり、他の医療従事者と比較しても特に「感染症の媒介者」になりやすいものです。

無論、介護施設で入所と通所を兼務する療法士にも同じことが言えます。

 

3.入所・通所スタッフの動線を区別する

利用者さんの移動制限、スタッフの担当分け…と来れば、仕上げは「スタッフの動線も分離する」ことでしょう😓

入所・通所の各スタッフ(介護職・看護職も含め)が1日の業務のなかで極力接点を持たないよう、更衣室やエレベーターなどが入所・通所用で区別され、不要不急の往来も禁止となりました。

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私自身、以前までなら業務の途中で一旦リハビリ室へ戻って事務処理をしたり、水分補給のための休憩などをしていましたが、今は入所者のリハビリが全員終わるまで3階フロアに留まらなければなりません。

スタッフ間の申し送りなど連携も必要なので1日の最後には1階へ戻るのですが、それでも通所・訪問スタッフとのソーシャル・ディスタンスを一定以上取るように指示されています。

 

4.入所リハビリは加算対象者のみ

例のリハビリ病院の集団感染報道を受け、入所リハビリの可否について検討されましたが、最終的には「加算算定の対象者のみ個別リハ継続」ということに落ち着きました。


f:id:sunao-hiroba:20200502125046p:plain正式には『短期集中リハビリテーション実施加算』と呼びますが、簡単に言うと「早期の在宅復帰を目標として集中的にリハビリを行う必要がある利用者さん」が対象で、週3回以上(1回20分以上)個別で行うこととなっています。

詳細は割愛しますが、算定には一定の要件があり、誰でも加算が取れるわけではありません。


この措置には賛否両論あると思います。

なぜなら、

「必要不可欠な人を優先して行うのなら、在宅復帰を目指す利用者さんが選ばれるのはやむを得ない」

というのが建て前ですが、実際には

「収益の大幅な減少を回避するため、加算算定者だけでも実施せよ」

これが施設側の本音だからです(それだけではないと思いたいですが…)。


いちPTとしては複雑な気持ちですが、入所サービスは個別リハビリが全てではありませんし、加算対象外の方々へのケアも可能な範囲で行っていこうと考えています。

 

5.マスク等の徹底(ゴーグルも?)

入所スタッフの常時ゴーグル装着が検討されているようです。

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マスクで顔を覆うことに関しても、私は本来あまり好ましくないと思っています。
口の動きや表情が隠れてしまうと、特に難聴や認知症の方々とはコミュニケーションが取りづらくなるからです。

それでもマスク装着は感染対策上必要なことですが、療法士が常時ゴーグルとなると色んな意味で大変です。

幸か不幸か(?)、医療用ゴーグルも今は入手困難。現状は普通のメガネを掛けて介入しています。

自分がコロナの媒介者になるリスクを徹底的に回避するには必要とも言えますが、どこまでやるかは難しいところですね…。


介入前後の手洗いや物品の清拭、職員の検温等、標準予防策や体調管理を徹底するよう通達されているのは言うまでもありません。

 

6.入所者の感染は絶対に防ぎたい

施設運営者側の最優先事項として、要介護度がより重度で体力に余裕のない入所利用者をコロナ感染から守りたい、ということがあります。

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入所者のなかにコロナ陽性者が出ても受入れ病院が無く、施設でケアを継続せざるを得ないという状況が一部の地域では起こっているようです。

そうなると、入所フロア内でクラスター発生→施設機能崩壊という最悪の事態も想定されます。


私の職場では現在ショートステイ(短期入所)の受入れを完全にストップしていますが、これも外部からコロナを持ち込むリスクを回避し、長期入所者を徹底して守るという意図によるものです。


ついでに言えば、通所サービスに関してはまだ中止になってはいません。ただ、1日の利用者数は平常時より10名以上少ないようです。

f:id:sunao-hiroba:20200502125046p:plainこれは「ご家族や他の介護サービスで対処できる方はなるべく利用を控えて」という国の方針もありますが、自発的に利用を自粛して下さっているケースも多いようです。

ショートステイも通所リハビリも、ご家族の介護負担を軽減するための「一時預かり所」的な機能があるため、在宅介護の担い手にとっては厳しい状況と言わざるを得ません。

 

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7.さいごに

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最近は「介護崩壊」という言葉も耳にするようになりましたが、そういうことにならないよう、老健の従事者として出来ることをひとつずつ、しっかりやっていきたいです。

職員としての感染防止策はもちろんのこと、利用者さんや他の職員にご迷惑を掛けないためには、個人としての日々の体調管理が重要ではないかと思っています。

 


f:id:sunao-hiroba:20200502131010p:plain今回、介護施設におけるリハビリ現場の状況をさも大変そうに綴ってしまいましたが、今は全ての国民が最前線で新型コロナと闘っています。

自分だけが辛いとか、国が悪い、誰かが悪いと考えるのではなく、皆で一致団結して苦境を乗り越えようという気持ちが大切ですね。

共に頑張りましょう!


最後までご覧下さいましてありがとうございました m(_ _)m

 

 

 

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