私は介護老人保健施設(以下、老健)に非常勤職員として勤めていますが、運営母体を同じくする特別養護老人ホーム(以下、特養)にも、月に数回ほどお手伝いに行くことがあります。
これらの施設における理学療法士(以下、PT)の主な業務は、要介護高齢者の個別リハビリです。
高齢者施設では介護職の人手不足が深刻と云われて久しいですが、PTも例外ではありません。
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1.物理的に不可能
特養では、私は通所部門のリハビリを担当しています。
応援に駆けつけなくてはならない理由は、常勤PTが1名しか在籍していないからです。
人手不足の分は、老健の非常勤PTを出向させて切り盛りしようというわけです。
私の勤務時間は、休憩無しの5時間。
多い日は、14名の利用者さんに対し個別リハビリを行うことがあります。
とは言え、入浴や昼食の時間帯はリハビリを実施できませんし、イベント(レクリエーションなどの催し物)の時間もなるべく避けなければなりません。
また、電子カルテ入力などの事務処理もあります。
そのため、個別リハビリに割くことの出来る時間は実質4時間(=240分)程度です。
介護報酬の規定では、利用者さん1名当たりのリハビリ実施時間は「20分程度」とされています。
と言うことは、4時間で実施できる人数は…
◆240÷20=12名
単純計算では、14名は物理的に不可能。
それでも、やらざるを得ないのが実状です。
2.人員を増やすか、やり方を変えるか
老健&特養のリハビリ部門を統括している管理者には、このような窮状については繰り返しお話ししています。
けれども、返ってくる答えはいつも同じ。
じゃあ、どうすればいいの?
逆に教えてよ。言ってみて。
……人員を増やすか、やり方を変えるしかありませんね。
だろ?
スタッフを増やすかどうかは経営者の判断だから、僕に言っても無理。
てことは、やり方を変えるしか無いんじゃないの?
◆17.2分×14名=240.8分
1名当たり17分で回せば何とかなる。
ただし、各利用者さんの状態によって所要時間は微妙に異なるので、完全に公平とはいきません。
現実的には以下のような感じで帳尻を合わせます。
◆(20分×2名)+(18分×7名)+(15分×5名)=241分
介護報酬の規定「20分程度」というのはあくまでも目安であり、15分でも明確な違反行為ではないということのようです。
実際、スタッフを増員できないのであれば、こうするしかありません。
それでいいんじゃない?
まぁ、しんどいとは思うけど、頑張ってな。
………。
3.割を食うのはいつも…
介護施設の運営において、最もコストが掛かるのが「人件費」。
ゆえに、経営者はつねにギリギリの人員で現場を回そうとします。
やむを得ない面もあるかと思いますが、割を食うのはいつも要介護高齢者や現場のスタッフ。
利用者さんの満足度向上や職員の負担軽減・働きがい向上などは、二の次です。
こんな事では、有能な人材が介護現場に集まらないのも無理はありません。
個々の経営者の手腕によるところもあるでしょうが、突き詰めていくと、問題はもっと根深いところにあるのかも知れません。
介護報酬制度や、さらには日本の社会構造そのもの…。
根本的に解決したいと思うならば、いち医療(介護)従事者として声を上げるだけではダメ。
それこそ、政治家にでもなって世の中を変えないとね。
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4.己の無力さに
私が最初に「PTになりたい」と思ったのは17歳の頃。
病気で長期療養を余儀なくされたことがきっかけでした。
17歳の私が、今の自分の姿を見たらどう思うだろう…。
あぁ、いちおうPTになれたんだね。
でも……それじゃあ、ねぇ……。
…………💧
自分の無力さに対し、情けなく、惨めに感じる今日この頃。
こんな時は、愛車に乗って海を眺めに行くぐらいしかありません。
例によって淡路島。
父方の故郷で、ここに来ると気持ちが安まります。
海のバカやろ~~~!!
ホントに叫ぶのは恥ずかしいので、心の中で。
さぁ、明日も仕事がんばろ~😅
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