すなおのひろば

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【大相撲の魅力:その7】『白鵬・かち上げ問題』の再燃に思う

f:id:sunao-hiroba:20191127171316p:plain去る2019(令和元)年九州場所において、横綱白鵬による「かち上げ(実質的には肘打ち)」が再び問題視されました。

横綱の品格といった精神論では白鵬を止められないことが明確になった今、当記事では「品格云々ではなく、危険行為であるという観点から反則規定を再考すべき」という主旨で話を進めたいと思います。


※『かち上げ(肘打ち)問題』については、過去記事で言及しています。


今回はこの記事の二番煎じになります(^_^;) すでに目を通して下さっている読者さまは、今回の記事は適宜読み飛ばして頂いて結構です。

 

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1.問題の一番と、横綱審議委員会(横審)の見解

まずは、問題となっている取組をご覧頂きましょう。

※6:33からのスロー映像で詳しく確認できます。

◆2019(令和元)年九州場所12日目:遠藤(えんどう)vs. 白鵬(はくほう)


【大相撲九州場所2019】遠藤‐‐白鵬


立合い、白鵬は例によって左からフェイントの張り手を行い、その後右から「かち上げ」を顎~顔面にヒットさせています。
さらに張り手を右・左と見舞って追撃し、遠藤を土俵に這わせました。

このかち上げは、意図的な「肘打ち」といっても過言ではないでしょう。

 

場所後、横審は以下のような見解を述べました。

白鵬の「かち上げ」に苦言 横綱審議委員会「見苦しい」】

日本相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会(横審)は25日、東京・両国国技館で定期会合を開いた。会合後に記者会見した矢野弘典委員長(産業雇用安定センター会長)は、九州場所で43度目の優勝をした横綱白鵬について「存在感を示した。優勝したのはよく頑張った」とねぎらった。

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一方、12日目の遠藤戦の立ち合いで、荒々しいかち上げを繰り出したことについて矢野委員長は「『横綱の振る舞いとして見苦しい』という意見がほとんど全員から出た」と明かした。協会に指導を要望したといい「そういうことをしなくても勝ってほしい気持ち。『名横綱』と後世に言われるようになってほしい」と話した。

※引用元:産経新聞 2019年11月25日 配信

 

2.なぜか禁じ手ではない「肘打ち」

ここで、「かち上げ」「肘打ち」について改めて整理してみましょう。

1)「かち上げ」は有効な相撲技のひとつ

「かち上げ」は、上腕~前腕を「くの字」に曲げた状態で相手の胸にぶつかる技です。

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その目的は、立合いに相手の上体を起こして重心を浮かせることであり、ごくごくベーシックな相撲技です。

私自身も子供の頃、友達と相撲を取る時には無意識に使っていたものです。

2)「肘打ち」は凶器と同等である

一方、「かち上げ」で用いる上腕と前腕は、肘関節で連結されています。

そして、肘関節の構成要素のひとつである「肘頭」は、極めて鋭く硬い構造になっています。

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空手家などは、こぶしを強くするため手指の骨を意識して鍛えることがあります。

しかし肘頭は鍛えなくても元々強いため、ルールの無いケンカでは「肘打ち」は有効な攻撃手段と言えるでしょう。

それゆえ、ムエタイなど一部を除き、格闘技では禁じ手となっていることがほとんどです。


故意の有無にかかわらず、かち上げが首から上に直撃するとそれは実質的に「肘打ち」と同等であり、強烈な破壊力をもたらします。これは動画を見て頂ければ明らかでしょう。

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ところが、大相撲では「握りこぶしでの殴打」は正式に反則とされているものの、肘打ちについてはどういうわけか禁じ手とはなっていません。

「運動器の専門家」である整形外科医や私のようなPTであれば、これがいかにナンセンスであるかご理解頂けるものと思います。

 

3.横審による白鵬批判は「パワハラ」?

2019年11月現在、大相撲で定められている反則規定は次の8項目です。


f:id:sunao-hiroba:20190501115658p:plain①握りこぶしで殴る
②頭髪を故意につかむ
③目または水月(みぞおち)などの急所を突く
④両耳を同時に両方の掌で張る
⑤前縦褌(まえたてみつ)をつかみ、また横から指を入れて引く
⑥のどをつかむ
⑦胸・腹を蹴る
⑧指を持って折り返す



ご覧のように、一般の方々が眉をひそめる「張り手」や「かち上げ」「肘打ち」は、どこにも記載されていません。


そして私の記憶している限り、白鵬は上記8項目に違反したことは一度もありません。


こう述べると、

「反則かどうかは論点ではない。横綱としての品格の問題なのだ」

おそらく、このような反論を受けるでしょう。

 

しかし、「横綱の品格」とは一体何なのでしょうか?


横綱品格論」の根拠は、横審が横綱昇進を推挙する際に用いる、以下の「内規」を基準としています。


f:id:sunao-hiroba:20190501123309p:plain横綱に推薦する力士の品格は、次の事項を基準としてその良否を判断して行う。
・相撲に精進する気迫。
・地位に対する責任感。
・社会に対する責任感。
・常識ある生活態度。
・その他横綱として求められる事項。

②品格の確認は、上記基準につき当該力士の日常生活の観察および師匠の証言等により判断して行う。

③協会は、確認にあたり判断した状況を添えて、委員会に横綱推薦を諮問する。



法律家ではない私個人の意見ではありますが、この内規が白鵬の荒々しい相撲を非難するに十分な根拠になるのかどうか、極めて疑問です。

 

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話は少し横道に逸れますが、私はPTとして管理職にあった頃、院内の自・他部署の労使問題にかかわることが多くありました。

ある時、「患者さんへの横柄な言動」が問題となっている職員に対する処分をどうするか、という問題が他部署で発生しました。

詳細は割愛しますが、この時病院の顧問弁護士からは、

「訓告や処罰の対象となる行為については、なるべく就業規則やその附則等で明示しておいた方がよい。そうでなければ、パワハラ等、後々トラブル(訴訟など)に発展するおそれがある」

という指導を受けました。

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実際、処分の対象になり得る事例など星の数ほどあるでしょうから、それらを全て就業規則その他の書類に記載するのは非現実的とは思われます。

ただ、ある程度明文化しておくべき、というのも、労使トラブルを防ぐ対策としては有効なのでしょう。

私が勤めていた当該職場では接遇教育なども組織的にきちんと行なわれていませんでしたから、「常日頃から教育していない事項で職員を処分するのは、法的には適切ではない」という指摘を受けるのも致し方ありません。

法律はこういう時、労働者の権利を守るようにできていますから…。

 

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そう考えると、白鵬の張り手やかち上げ、肘打ちを「横綱の振る舞いとして見苦しい」などと横審が批判するのは、附則どころか就業規則そのものに全く記載されていない行為をあげつらって有形無形のプレッシャーを与えているのと同じであると言えます。

あえて白鵬側に立つなら、それは「権威者によるパワハラ」なのかも知れません。

 

4.提言:肘打ち・首から上へのかち上げは反則とする

白鵬を擁護するわけではないので誤解の無いようにお読み頂きたいのですが、先に述べたように「張り手・かち上げ・肘打ち」は、現状ではルール違反ではありません。これは厳然たる事実です。


f:id:sunao-hiroba:20190427163519p:plain横綱には品格と同時に力量抜群であること、すなわち「勝ち続けること」が強く要求されます。

効果的に勝つ方法があるなら、違反でない限り積極的にそれを活用しようとするのは、勝つことに貪欲な力士なら当然とも考えられます。

そうやって白鵬は、全く有望視されていなかった「痩せっぽちの少年時代」から這い上がり、43回の幕内優勝を重ねてきたのです。

※画像引用元:日本相撲協会公式サイト

 

実際に土俵上で命をかけて闘っているわけでもない横審のお偉方が、根拠のない理屈で力士の技を制限するなど筋違いではないでしょうか?


そこで私は、下記のように反則規定に追記することを以前から提言していました。

ま、提言とはいっても、弱小ブログからの発信では何の効力も無いのですが…。


◆肘打ち:
⇒顔面はもちろんの事、身体のいかなる部位に当てても反則負け。

◆かち上げ:
⇒本来の使用方法ならOKだが、首から上に当たれば「故意の有無」にかかわらず肘打ちと同等とみなし、直ちに反則負け。

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きちんとルール化すれば白鵬はそれに従うはずですし、仮に従わなければ即「反則負け」です。

さらに反則行為を繰り返すなら、その時こそ「横綱の品格に欠ける」として処分すれば良いのでしょうし、それならば法的に見ても妥当と考えられます。

 

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5.無能な横審に喝!

f:id:sunao-hiroba:20190427174305p:plain横綱の品格といった精神論を振りかざし、根本的な問題点には言及しない横綱審議委員会…。

まあ、世の中に多く存在する「第三者委員会」なるものは、せいぜいこの程度なのかも知れません。

横審など所詮はお飾り、日本相撲協会の隠れ蓑…といったところでしょうか。


個人批判はなるべく避けたいのですが…あえて言わせて頂くと、横審委員長を務める矢野弘典氏は東大法学部を卒業し東芝に入社、のちに経団連の専務理事なども歴任した超エリートです。

他にも、現任委員のなかには弁護士も存在します。

法律に精通しているはずの彼らが、反則規定に入っていない「かち上げ」「肘打ち」を非難することがいかに非論理的で不適切かということに気づいていないとは思えないのですが…。


横審の役割は、横綱に関する諸々の案件について協会の諮問に対し答申したり、協会の発議に基づいて進言することとされています。

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簡単に言えば、下記のようなものです。

①協会から意見を求められたら協議し、その結果を協会へ報告する。

横綱の言動に問題がある時は、協会の意向に沿って横審から当該横綱へ注意を与える。


ならば、

白鵬のかち上げ(肘打ち)が危険で見苦しいと言っても、ルールで禁止されていないではないか。

横綱の品格といった抽象論・感情論で力士の技を自粛させるのは、スポーツとしてフェアではない。

◆品格を云々する前に、まずはルールの不備を正してはどうか。

このような審議結果を答申し、肘打ちを反則として明文化することを協会に促すのが横審の本当の役割ではないかと思います。

 

大相撲の伝統文化とスポーツとしての健全性を両立させるためにも、横審と日本相撲協会の方々に英断を期待したいです!


最後までご覧下さいましてありがとうございましたm(_ _)m

 

 

 

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