すなおのひろば

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【病気療養中の思い出:その6】看護学生 Mさんとのかかわり…③届いた手紙

f:id:sunao-hiroba:20190105194729p:plainMさんと別れた後は、再び退屈な入院生活、そして留年の危機と将来への不安に苛まれる日々が続いていました。

看護学生の実習終了から1週間ほど経った、3月上旬のある日。
学校から帰ってくると、ナースステーションの前で、ある若手の看護師さんがニヤニヤ笑いながら話しかけてきました。

 

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1.病棟に届いた便り

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「すなお君に手紙が来てるよ~。女の人みたい。誰だろ…?」

差出人はM.Iのイニシャル…そして彼女の実家の住所も書かれていました。

大胆にも小児病棟宛てに送付してきたのですが、幸いにも「実習生のMさん」とは気づかれていないようでした。

…最後の日はありがとう。まさか見送りに来てくれるとは思ってなかったので、ビックリしました。

思わず泣きそうになったじゃないですか…。

ただ…バスが学校へ近づくにつれて、みんなとお別れする辛さよりも、また学校の寮生活に戻ることへの不安の方が強くなってきたの。

私のことを嫌っている人と同室で…あぁ気が重い…。

ごめんなさい、こんなこと書いてしまって…


Mさんの実家は学校から微妙に遠い場所にあり、通学するのは難しかったようです。

学校の学生寮も実習先の寮と同様、ワンルームマンションのような狭い空間に4人がひしめき合って暮らしており、環境的には劣悪であることも以前から聞いてはいました。

便りを送って下さったことを喜びつつも、その内容には一抹の不安を覚えるものがありました。


4月になり、私は何とか留年を免れ3年生になることができました。

今度は私の方から、近況報告がてら手紙を出しました。

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Mさんからの返信の内容は概ね取りとめのないものでしたが、寮生活や実習へ向けての不安など、やはり文章の端々にネガティブな面がにじみ出ているのが気になりました。


それからしばらくの間、音沙汰はありませんでした。

 

2.Mさんの苦悩

私は6月中旬に一旦退院したものの、7月末に再入院。そして9月中旬には退院しました。

いよいよ高校3年の後半に差し掛かりましたが、私の進路には暗雲が立ちこめていました。


そんな9月下旬のことでした。

Mさんからの手紙が自宅に届いていました。

あと半年で卒業というこの時期に、何をバカな、と言われるかも知れませんが…もう学校を辞めたいです。これ以上、耐えられません。

これから行く実習も、今までと違って自分でアセスメントを立てて主体的にやっていかないといけない厳しい実習なので、私にはとても乗り越えられそうにありません。

もちろん両親からは反対され、大喧嘩になり家庭崩壊状態です。
どうしたらいいのか…私にはもう、分かりません…


「辞めたい」という理由については、実習の厳しさに触れている以外に、特に具体的には記されていませんでした。

しかしそれまでの手紙の内容から、「寮生活を含めた同期生との人間関係」が背景にあるのでは…という感じは強く受けていました。


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今振り返ると、当時まだ高校生で、自身の逆境を打開するのに精一杯であった私ごときに、Mさんの苦悩を受け止めることなど不可能に等しかったと言えます。

ですが、そんな私に胸の内を晒したMさんが、いかに追い詰められていたか…そして悩みを打ち明け共有する身近な人も居ないのであろう状況を物語っているようでした。

 

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3.私なりの助言

こういう場合、理路整然とアドバイスするのが良いのかは微妙なところです。

まして、「辞めるなんてとんでもない!」とか「もう一度考え直しなさい」などと諭すのは、金銭面その他の援助をしているご両親や、学校の指導教員にのみ許される行為ではないかと思います。

私はただMさんの思いを傾聴し、寄り添うだけの方が良かったのかもしれません。

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けれども、当時は携帯電話やLINE、メールなども存在しない時代です。

ましてお互いの実家も遠い距離にあり、頻繁に連絡を取り合うとか、気軽に会って話ができるような環境ではありませんでした。

もしそれが可能だったら、結果は少し違ったかも…と考えてみたりもします。

辞めたいと思うに至った理由を、自分なりにちょっとずつ整理できればいいですね。

学業のことについては独りで背負い込むのではなく、学校教員とそのつど相談しながら実習に臨んでいけたら良いのでしょうが…。

学内の人間関係で辛いことはありますか? 学校教員や、誰か信頼できる同期生が一人でもいるのなら、間に入ってもらうなりして、そこから解決の糸口を見いだしてみたらいかがでしょうか。


それでもやっぱり気持ち的にキツいようなら、無理せず休学して、しばらくゆっくりしてみても良いかもしれませんね…


私は、おおよそこのような内容をしたためて、返信を出しました。



そして1ヶ月ほど経った頃、また手紙が届きました。

私が辞めたいという気持ちになった背景には、寮で同室の◯◯さんとの人間関係があったことに、すなお君の手紙を読んでいて改めて気づいたんです。

そして、唯一信頼できる同期生の子と、あることについて本音で話し合いました。それで◯◯さんとの関係については自分なりに整理できたような気がします。

ただ、母親と一緒に学校へ面談に行く時、落ち着いて臨めるようにすなお君の手紙をかばんに入れて行ったのですが、学校に近づくにつれて冷や汗がダラダラ、胸もドキドキして…やっぱり心と体が拒絶反応を起こしてる…。

今後も学校の先生とは面談するけど、もう実習は欠席してるし…とりあえず一旦休学になりそうです。

このまま辞めるか、留年してもう一度やり直すかは五分五分です…

 


その後も、翌年2月までに幾度か手紙のやり取りをしました。

しかし最終的にMさんが選んだ決断は、やはり「中退」でした。

割れてしまった白衣の天使の卵…それが今の私です。


ずっと支えてくれていたのに、こんな結果になってしまってごめんなさい…

 

<次回につづく>

 

 

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