すなおのひろば

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【万能の健康法『ウォーキング』:その2】人類にとっての「歩く」ということ

f:id:sunao-hiroba:20181009150720p:plain今回は、そもそも人類にとって「歩く」とはどのような意味をもっているのか、といった根源的なテーマから話を始めたいと思います。

ちょっと余談めいた話になって申し訳ないのですが、物事を理解するためにはまず原理・原則に戻り、本質を見極めるというのが私の考えです。どうか少しだけお付き合い下さい。

 

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1.人類のおもな移動手段

現生人類(ホモ・サピエンス)は約25万年前にアフリカで誕生し、その後中東からヨーロッパ・アジア地域・アメリカ大陸など、徐々に世界全域へ拡がっていきました。

もちろん、そのおもな移動手段は「歩く」ということです。

ヒトが鉄道や自動車・飛行機などの便利で速く移動できる手段を獲得したのは18~19世紀の産業革命以降ですから、人類史上ほんの少し前のことといってよいでしょう。

馬車や乗馬にしても、はじまりは紀元前数千年~数百年頃といわれています。

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そう、人類にとって陸上の移動手段はつい最近まで「歩く」か「走る」のが普通だったのです。

日本においても、古来より一部の階級層の人々が馬や牛車などを利用していましたが、少なくとも江戸時代までは「歩く」ことが庶民にとってのおもな交通手段でした。

 

2.脳内麻薬による「ウォーカーズ・ハイ」

ランナーズ・ハイ」という言葉をご存じの方もいらっしゃるかと思います。

走っているとだんだん苦しくなってきますが、それに耐えてさらに走り続けると、ある時点から快感・恍惚感が生じるというものです。

この現象は、運動というストレスによって脳内の神経伝達物質(β-エンドルフィンやドーパミンなど)の分泌が促されることによって起こります。これらは「脳内麻薬」ともいわれます。

そしてこのような現象は、走るほどキツい運動でなくても現れることが分かっています。

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ちなみに私自身も1日10,000歩の速歩きを日課にしている(けっして「1日10,000歩を目標にせよ」といいたいわけではありません…念のため)のですが、歩いている時は脳の働きが活発になっていくのを実感できます。

連続で30分ほど歩いていると、唐突に良いアイデアが浮かんできたり、イヤなことを一時的に忘れられたり、前向きに物事を考えられるようになったりするのです。

これを私は「ウォーカーズ・ハイ」と呼んでいます。

 

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3.本能に組み込まれた「歩く快感(?)」

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現生人類の起源である初期のアフリカ人は、おもに狩猟で生活の糧を得ていたようです。

その方法は、長時間しつこく獲物を追いかけ、疲れさせてから武器や落とし穴で仕留める「追跡型狩猟」です。

体毛が少なく発汗機能がきわめて高いヒトは、動物界で最強の競歩選手であり、マラソンランナーなのです。

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ここからは私の勝手な解釈であり、科学的根拠を示すことは難しいですが…生活の場を求めて移動し、食べていくためには「歩く・走る」ことが日常だった人類は、その行為自体が、肉体の健康や脳の働きを維持するための大きな要素となったのではないでしょうか。

そういう意味では、ウォーキングやジョギングで得られる快感は、私たちの遺伝子に組み込まれた「本能」といえるのかもしれません。

 

4.平均寿命と健康寿命

大正時代くらいまで、日本人の平均寿命は40歳台であったといわれています。

それが昭和以降、とくに戦後の高度経済成長期になると、栄養状態・衛生環境の改善や医療の進歩によって平均寿命は著しく上昇し、2018(平成30)年の調査では女性87歳・男性81歳まで伸びています。

一方、日常生活が制限されることなく元気に暮らせる期間、すなわち「健康寿命」は、女性75歳・男性72歳程度といわれています。

すなわち、人生の最後の10年前後は「要介護状態」など何らかの活動制限が生じる可能性があるということです。

f:id:sunao-hiroba:20181009144052p:plainその一因として、栄養の摂り過ぎや運動不足(とくに歩行量の減少)によって起こる生活習慣病などが影響していると考えられます。

豊富な栄養と便利な交通手段を得た人類は、それと引き換えにリタイア後の人生を楽しく豊かに生きるために必要な「行きたい時に行きたい場所へ、自分の脚で歩いて行ける」能力を低下させてしまったように思えます。

 

 

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