フィグマは、ついに伝説のフィギュアノーツ1号『ダーク』にめぐり逢った。
異星人が乗り捨てたUFOを相棒として、100年もの間清掃任務を続けていたダーク。
地球への帰還を勧めるフィグマに対し、経験豊かなダークの反応は冷ややかだった。
そんな中、AIスーパーコンピューター『U太郎』は、緊急事態の発生を告げるのであった。
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1.遙かなる脅威
緊急事態発生。緊急事態発生。
ん? U太郎、どおしたんや?
そんな警告、100年付き合ってて初めて聴いたわ。
直径20㎞の彗星が接近中。現在、木星の公転軌道付近。
宇宙方位◯△・距離8億1000万㎞。
時速15万㎞で地球衝突コースを進行中。
地球までの到達予測、225日後。
な……何だって?!!
おいフィグマ、どうなってるんや?
地球に衝突する可能性のある彗星ぐらい、NASAがモニタリングしとるやろ?
い…いや、超巨大彗星が近づいてることはNASAも把握してましたよ。
でも「地球軌道からは大きく逸れるから大丈夫」って……。
木星の重力の影響により、彗星の核が4つに分裂した。
その破片のひとつが進路を変え、地球直撃コースに入ったのだ。
………!!!
……U太郎、このまま地球に衝突したらどうなるんや?
6600万年前に恐竜を絶滅させた巨大隕石、その約3倍の破壊力と推定される。
地球環境は激変し、99%の生物が死滅するだろう。人類とて例外ではない。
くっ……💦
2.唯一の方法
フィグマ、人類は事前に対策を講じてなかったんか?
いや、何も……。
まさか進路が変わるとは、全く想定外だったでしょうから。
程なくして、NASAでも彗星の分裂、そして地球衝突コースを辿っていることが確認された。
国連安全保障理事会で緊急会合が開かれ、対応が検討された。
だが各国首脳の意見は対立し、有効な解決策は何も示されなかった。
合意したことと言えば、パニックを抑制するため各国で厳しい情報統制が敷かれたことぐらいであった。
分裂した片割れとは言え、直径20㎞の巨大彗星だ。
現在の地球人の技術水準では、事前に予測できたとしても阻止するのは不可能だろう。
そおか……お手上げやな。
地球人には、な。
………?
我々には、ひとつだけ方法がある。
なんやなんや~U太郎!
もったいつけて場を盛り上げるのもええけどな、はよ教えてくれ ♪
私は光速の1/4の速さで飛ぶことができる。
その動力源は、最新鋭の原子核融合炉だ。
か、核融合炉だって?!
こんな小型に……何という技術力!!
地球上にある最も強力な水爆でも、私の核融合炉の破壊力には及ばない。
この機体を全速力で正面衝突させれば、彗星は粉々に砕け散るはず。
………!!
U太郎、お前……。
ただ、ひとつ問題がある。
問題?
この機体には「自動衝突防止プログラム」が組み込まれている。
私は、自らを破壊に導くような機動が出来ないのだ。
すなわち、誰かが手動で操縦して、私を彗星まで誘導するのが唯一の解決方法だ。
……なんや、そおゆうことか。
簡単なこっちゃ ♪
まさか、ダークさん……。
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3.誰かのために
ちょっ、ちょっと待って下さい!
あなたはすでに一度、異星人の侵略から地球を救った。
今度は私が……
フィグマ、お前は何のためにフィギュアノーツに志願したんや?
そ、それは……ただ伝説のフィギュアノーツに逢いたいと……。
誰かのために生きること。それこそが一番大事なんや。
それが巡り巡って自分のためになる。人間が忘れかけてることや。
………。
お前には宇宙清掃という大事な使命がある。まずは任務を全うしろ。
ただ、いつまでも人間の「捨て石」にはなるなよ。
退役したら、今度こそなりたい自分になるんや。
自分の足でしっかりと大地を歩け。ええな?
ダークさん……。
フィグマ、達者でな!!
…………。
U太郎は、光速の1/4(時速2億7000万㎞)まで一気に加速した。
U太郎、ここから彗星までどれくらいや?
到達予測時間、180分後。
…………。
<最終話につづく>
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