中高年~高齢者のみなさまへ
嚥下障害への対応が不十分なA病院に勤務していた私は、上司にSTの雇用を提案しました。やっと稟議書が通り、求人を開始したものの何ヶ月経っても応募者は皆無。雇用条件が悪過ぎたためですが、その状況を甘受するしかない日々が続きました。
嚥下訓練はリハビリの中でも重要な位置を占めており、その専門職としてはSTが代表的ですが、当時私が勤務していたA病院には在籍していませんでした。今回は、STの募集を巡る病院経営者や医師との不毛なバトルを前・後編に渡って綴ります。
今は携帯・スマホを1人1台所有する時代。緊急連絡もしやすくなりましたね。外出時に救急セットなどを持ち歩く読者さまはいらっしゃいますか? 私はそこまで用意周到ではありませんが、最低限の物は備えておかなければと思う今日この頃です。
PT養成校の学生だった25年前、道端で倒れていた人の救護に当たった事例を振り返ります。経験不足もあり、不測の事態を目の前にして慌ててしまいましたが、ベテランと呼ばれるようになった今でも急変患者に対処するのはなかなか難しいです。
数日前、地下鉄の駅構内で倒れている女性に遭遇しました。救急隊が到着するまでの間、私は数名の方々とともに救護に当たりました。これまでにも何度か同様の場面に出くわしましたが、いざという時には医療者であっても焦ってしまうものです。
当シリーズ最終回は、TKA術後リハビリテーションの進め方について解説します。術後リハビリでは、静脈血栓塞栓症や体力低下・認知症など、過度の安静による廃用症候群を防ぐとともに、早期退院・社会復帰を果たすことが目標となります。
これまで述べたように、TKAは膝痛や可動域制限によって日常生活に支障が出ている場合に適用されます。「痛みのために長い距離を歩けない」「立ち座り・階段が辛い」などが主な理由ですが、特に痛みの緩和が第一目的となることが多いです。
人工膝関節(TKA)は整形外科手術の中でもポピュラーな方法であり、適応を誤らなければ患者さんにとって有用なものですが、どんな手術でも100%安全ということはありません。そこで今回は、手術に伴う様々なリスクについてご説明します。
ここから数回にわたり、人工膝関節全置換術についてご説明します。様々な術式があり、部分置換術という方法も存在しますが、一般的ではないため当記事では割愛します。一部マニアックな内容も含まれますが、少し我慢してお付き合い下さい。
「生活環境を洋式へ改めましょう」と、深く考えずに患者さんに勧めるPTもいますが、和式生活が膝関節症を悪化させるという明確な根拠はありません。けれども、床に座る・立つという動作そのものは脚が不自由な人には少々キツいのも事実です。
代償手段とは、身体の障害を補うツールや方法論のことを指します。変形性膝関節症が加齢性の疾患である以上、完璧に治癒することは無いため、上手に付き合っていかなくてはなりません。今回は動作能力の低下を補助する器具について述べます。
前回の記事に対し「すり減った軟骨は元に戻らないと思い込んでいました」といったコメントを多く頂きました。実は、軟骨再生の可否については医療界でも様々な見方があります。そこで今回は、従来の見解と最新の知見について整理してみます。
「一度すり減った膝の軟骨は元に戻らない」と誤解している人も多いようですが、そうではありません。加齢等により軟骨の摩耗~再生のバランスが崩れた時、膝の変形が生じます。すなわち、この疾患を予防するには再生能力を促せば良いのです。
変形性膝関節症は、中高年の女性が悩まされることの多い疾患です。このシリーズではその概要と予防・改善法について、PTの視点から述べたいと思います。今回は基本的な病態、および発症に影響を与える危険因子について列挙していきます。
タレントの松本伊代さんが、脊椎圧迫骨折で療養なさっているという報道を目にしました。中高年女性は骨密度が低下しやすく、思いのほか簡単に骨折するものです。コロナ禍で長期間の外出自粛が続く今、急激で負荷の強い運動は注意が必要ですね。
30代前後のプロ野球選手が、一塁へいく途中であっさり肉離れを起こす場面を時々見かけます。「加齢性変化」と言うと随分お年寄りのイメージになりますね。けれども、筋肉や椎間板などの軟らかい組織は意外と早い段階で老化が始まるものです。
私事ですが、今年の3月に50歳を迎えました。これまでの人生に一片の悔い無しと言いたい所ですが、「勉強も遊びも若い頃に目いっぱいやっておくべきだった」と後悔しきり。うかうかしている内に、もう半世紀も生きてしまったという感じです。
今回は私が勤務している老健・特養でよく見かける杖と歩行車について述べます。いずれも優れた性能で普及率が高く、私個人的にも推奨できるものです。医療・介護従事者、および在宅で介護をされているご家族の方々にも参考になれば幸いです。
先日、タイガー・ウッズさんが複雑骨折を負ったというニュースが飛び込んできました。速報を重視する観点からこのような報道では医療用語の誤用も多く、一般の方々に誤解を与えがちですね。そこで今回は、骨折の主な種類と特徴について述べたいと思います。
運動を習慣化するのは難しいことであり、患者さんに運動をお薦めする医療者としても永遠のテーマです。結論から申し上げると「誰でも簡単にできる」といった都合の良いコツなどありません。故に今回はありきたりな内容になりますが、何とぞご容赦下さい。
今回は、私がPTとしての知識をもとに継続している運動をご紹介したいと思います。万人に適応できるわけではありませんが、腰痛・肩痛に悩まされているアラフィフの私でもこなせる内容ですので、トレーニングメニューを検討する上で参考になれば幸いです。
去る1/20、爆笑問題の田中裕二さんがくも膜下出血・脳梗塞で入院したとの報道がありました。幸い病状は軽いようですが、合併症の怖れもあるため、お仕事もしばらくの間休養しないといけないでしょう。脳卒中…働き盛りのアラフィフにとっては要注意ですね。
新型コロナ第3波騒動を受け、世間では「不要不急の外出を避け、年末年始は自宅で静かに過ごしましょう」といった論調が幅を利かせています。かく言う私もその趣旨には一理あると思いますが、しかし何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ではないでしょうか。
歩行器シリーズ後編の今回は、高齢者のニーズが高い『屋外用歩行車』と『シルバーカー』について解説します。汎用性に優れており、私が勤めている老健の利用者さんの所有率も高いですが、適応に際してはいくつかの注意点を把握しておく必要があります。
歩行器には様々なタイプがあり、身体能力や住環境に応じて適切に選択する必要があります。今回は、施設や在宅で使われることの多い2つの室内用歩行器について述べます。主に一般向けの内容となりますが、医療・介護従事者の方々にも参考になれば幸いです。
五十肩編の最終回は、慢性期以降の運動について述べます。基本的には日常の中で積極的に肩を動かしていくのですが、痛みが続いている人は初心に返り、簡単な動きから始めましょう。無理せず、あきらめず、痛みをコントロールする方法を身につけて下さいね。
俗説では「五十肩は治る」とも云われますが、その一方で痛みや拘縮がいつまでも続くケースもあるようです。いわば、慢性期の袋小路に陥ってしまった方々です。これを防ぐには、急性期の段階でどれだけ動かしていけるかが鍵であると私は考えます。
五十肩とは、肩の痛みと可動範囲の制限を伴う加齢性疾患です。このシリーズでは、その概要と予防・改善法についてPTの視点から解説していきたいと思います。今回は五十肩の発症要因を列挙するとともに、そこから導き出される予防策について考察します。
当ブログでは、運動による健康維持・増進の手段として、屋外でのウォーキングを推奨してきました。けれども、「不要不急の外出の自粛」が求められている今、用も無いのに出かけるという行為に罪悪感や一抹の不安を感じている方々も多いようです。
病院等で患者さんが運動療法を行っている最中、血圧上昇によって体調が急変することは意外と少なく、むしろ急激な血圧低下によるアクシデントの方が圧倒的に多いと言えます。後編の今回は、血圧低下時の注意点や防止対策等について述べたいと思います。