すなおのひろば

中高年の健康と若手PTの未来をサポートするブログ

◆1962年10月17日 - 北海道乙部町で函館バスが土砂崩れに巻き込まれて海へ転落。14人死亡、25人重軽傷。

【理学療法士をめざす人へ:その17】健康について一番よく知っているのは健康な人

f:id:sunao-hiroba:20210612161955p:plain医療に対して不信感のある患者さんが、「自分の身体は自分が一番よく知っている。偉そうに指図するな!」と、医療従事者に反論することがあります。

私の父親もそうでした。
よく暴言を吐いて、主治医や看護師に嫌われていたものです😓

 

《スポンサーリンク》
 

 

 

1.病気に詳しいのは医療従事者

誤解を恐れずに言えば、私は「病人の身体のことは病人の方がよく分かっている」という考えにはあまり同意できません。

f:id:sunao-hiroba:20210612163922p:plain確かに、患者さん固有の症状(特に痛みや違和感・不快感といったもの)はその人自身が感じている「主観」ですから、他の人には共有できません。

ただ、医療従事者は病人や怪我人を日常的に多く診ています。
同じ疾患でも千差万別、様々な症状の現れ方があることも、専門職の経験として蓄積されています。

なので、総合的にみて医療従事者の方が病気・怪我の「性質」については詳しいと言って差し支えないと思います。


では、健康を維持する方法について一番詳しいのは誰でしょうか?

 

2.健康に詳しいのは健康な人

一方、医療従事者は「健康な人」を診ることはほとんどありません。

ゆえに、健康を維持する方法を一番よく知っているのは健康な人だと私は思っています。

もちろん、「病人をたくさん診ていれば健康を維持する(病気にならない)方法も分かるのではないか?」という考え方も論理的には間違っていないでしょう。

f:id:sunao-hiroba:20210612164322p:plain

例えば、食べ過ぎてお腹を壊したり生活習慣病になった人を治療していれば、「どうやら食べ過ぎは身体に良くないらしい」ということが分かります。

肺気腫の患者さんの多くは大量喫煙者(1日1箱・20年間)なので、「タバコの吸い過ぎは呼吸器に悪影響を与えうる」ということも分かります。

……けれども、せいぜいこの程度のものではないでしょうか。
医療従事者で無くとも、これぐらいなら経験的に誰でも分かっていることです。

では、1日1箱がダメなら、何本までならOKなのか?

明確に答えられる医療従事者はいないでしょう。だから「タバコは害にしかならない。肺気腫になりたくなければ禁煙しろ」という極論しか言えない。

血圧とか体重も同じです。医療従事者は「標準値」を知っていても、目の前にいる人にとっての至適血圧・理想体重がどれくらいかなんて分かっちゃいないのです。

 

f:id:sunao-hiroba:20210612172534p:plain

医療従事者は病人・怪我人に対処するのが仕事であって、

◆どうやって健康を保つのか?
◆元気で長生きの秘訣は?

という問いに説得力をもって答えられるのは、今まさに「元気で長生きな人」ではないでしょうか。

 


「医者の不養生」という言葉がありますが、不健康で不摂生な医療従事者は実際多いものです。

私たちPTも、よく糖尿病患者さんに対して

◆血糖コントロールのためにウォーキングと筋トレを!
◆エレベーター・エスカレーターよりも階段を!
◆通勤では、ひと駅前で降りて歩くように!


などと生活指導するのですが、そもそもPT自身、仕事で疲れているのにわざわざ階段を使ったり、ひと駅前で降りたりするでしょうか?

私自身はウォーキングと筋トレをずっと継続していますし、腹八分目も概ね守っていますが、それでも100%健康に良いことばかりやっているわけではありません。

自分にできないことを患者さんにお薦めするのが医療従事者というもの。

「常に健康増進を意識し実行している人でなければPTになってはいけない」とまでは言いませんが、自分たちの知識・経験不足について、もっと謙虚になった方が良いとは思います。

 

3.行動を制限するなら代案を

とは言え、病人・怪我人を診ている立場から健康を語るのも医療従事者の役割のひとつ。
最近ではPTも、介護予防など健康増進に関する地域事業に積極的に関わることが求められています。

かく言う私も、当ブログで健康法について色々と記事にしてきました。


健康法(疾病予防)についての提言・助言に際し、私がもっとも留意していることとして、

「あれをするな」「これをするな」ということはなるべく避ける。


というマイルールがあります。

なぜなら、行動の制限は常に廃用症候群のリスクをはらんでいるからです。

廃用症候群は「安静の害」「生活不活発病」とも云われます。
要は「使わない機能は衰える」ということです。


どうしても行動の制限を求めるなら、制限によるデメリットも説明しなくてはなりません。
そして、制限に対しては代案を出すことです。

f:id:sunao-hiroba:20210612165857p:plain

例えば五十肩の初期では、痛みが強くなる方向には動かさないように注意する必要がありますが、安静にし過ぎると後々関節が固まってしまいます。そのため、肩に負担を掛けない動かし方を学んで頂きます。

腰痛では重い物をなるべく持たないようにしますが、職業上やむを得ない場合もあるので、腰に力学的負荷が加わらないような持ち上げ方を練習して頂きます。

五十肩も腰痛も、日常生活の中で動かしながらコントロールするのが基本です。
骨折や心疾患、脳卒中リハビリテーションでも原則は同じです。

過度な安静も積極的な行動も、それぞれメリット・デメリットがあり、それらの情報を多角的に提供するのが医療従事者の役割だと私は考えます。

国民が自分の判断で自由に選べるようにするためです。

 

《スポンサーリンク》
 

 

4.さいごに

f:id:sunao-hiroba:20210612171311p:plain

コロナ禍の昨今、医師会の会長などが国民に対し自粛を提言する場面にたびたび出くわします。

「不要不急の外出を自粛せよ」
「マスクを徹底せよ」
「会食するな・路上で飲むな」


政府に対して専門家としての意見を述べるならともかく、一般人に行動の制限を求めるのが医療従事者の役割なのか、私には甚だ疑問です。

本来、医療従事者の使命は、ただ病人を治療することではないでしょうか?

 

どうしても制限を求めるなら、以下のようなデメリットも説明して頂きたいです。

◆外出自粛→廃用症候群
◆マスクの徹底→肺換気能の低下・免疫力の低下
◆営業自粛(無観客・時短営業など)→経済の停滞・自殺者の増加

これらのデメリットに対して責任取れますか?
代案は提案できますか?
病気になった人をちゃんと受け入れてくれるんですか?

できないなら、詳しい説明もせず安易に制限を掛けないでほしいです。

健康に良い(感染症になりにくい)とまことしやかに言われる対策にも、メリット・デメリットがあります。
正しい情報と選択肢をもれなく提供するのが、コロナ禍での医療従事者の役割のひとつ。

選ぶのは国民の側です。

 

 

 

www.sunao-hiroba.com

 

《スポンサーリンク》