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【大相撲の魅力:その2】立合い…②「立合いの乱れ」の是正

f:id:sunao-hiroba:20190310140548p:plain「この仕切りで立つか…?」という緊迫感の全く無い、機械的で漫然とした仕切りの繰り返し。

また、相手と呼吸を合わそうとせず、むしろ意図的にタイミングをずらして自分だけ優位に立とうとする力士も多いです。

そのような仕切り・立合いでは、熱心な大相撲ファンではない人が退屈に感じたり、イライラするのも無理はありません。

 

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1.自分本位の「タイミングずらし」戦法

私は30年来の大相撲ファンですが、一時期あまり熱心に観戦しない期間がありました。

そして最近はまたじっくり観る機会が増えつつあるのですが、ここ数年でとくに「相手との呼吸を意図的にずらす」立合いが目立つように私には感じられます。

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その最たる力士が、先日引退した横綱稀勢の里(現・荒磯親方)でした。

土俵を去ったばかりの横綱に対し礼を失するのは重々承知ですし、稀勢の里ファンだった方々にも申し訳ないのですが…互いに全く合わす気のない立合いの典型例として提示しておきます。

 


3度の”待った!”に場内から「負けろ!」のヤジも・・大相撲九州場所初日【稀勢の里 -- 玉鷲】



「負けろ!」のヤジは、さすがに観客の側もマナーが良くないと思いますが…。

それはともかく、タイミングずらし的な立合いは結局のところ「前に出る攻撃相撲」にはなり得ず、

受身の相撲→土俵際や勝負所での無理な体勢→大きなケガ→引退

という悪循環に陥ってしまったように思えます。

 


ただ、立合いが自分本位になりがちなのは、そもそも「競技の開始が、闘う力士たちの意志に委ねられている」という曖昧さがもたらす負の側面でもあります。

大相撲では、立合いで勝負が8割以上決まると言われます。

これは、

◆身体の一部が土俵の外に出ると負け

◆足の裏以外の身体の一部が土俵上に触れると負け

といった単純明快なルールに基づき、

「一般人の2~3倍もの体重をもつ人間がぶつかり合い、短時間で勝負が決する」

という競技の性質上、ほんの1/100秒程度の「立ち遅れ」によって一気に押し込まれたり、寄り切られてしまうことになるからです。

そうすると、各力士は少しでも相手より早く立とうとして「タイミングずらし」に躍起になります。

 

2.戦後繰り返された「立合いの乱れ」の是正

横綱双葉山が活躍した時代(昭和10年代)の取組映像を見てみましょう。

仕切り・立合いの所作は、両者とも相手の動作にシンクロ(同調)させる意識が高く、しっかりと腰を割り(腰を落とし)、とても綺麗に立っているのがよくわかります。

 


Futabayama vs. Terukuni : Natsu 1943 (双葉山 対 照國)



ところが、戦後になると「相手より少しでも早く立ちたい」という意識からか、いつしか腰を割って仕切り線に両手をつくことが全く無くなり、中腰のまま立合うようになってしまいます。

栃錦若乃花の名横綱が競った昭和20~30年代、そして大鵬が君臨した昭和30~40年代、さらに北の湖から千代の富士に続く昭和50年代の終わり頃まで、「中腰立ち」は実質的に固定化されてしまいました。

 


Taiho vs. Sadanoyama : Hatsu 1962 (大鵬 対 佐田の山)



そこで1984(昭和59)年の後半、相撲協会は「立合いの正常化」を掲げ、両手をつく立合いを徹底します。

この方針により、多少の齟齬(手つき不十分なのに立合いが成立してしまう)は現在でも残ってはいるものの、「中腰立ち」のような極端なやり方は根絶されました。

しかしその一方、どちらかが必要以上に立合いを早まって

「突っかけ」

とか、所作が遅すぎて相手が待ちきれずに先に立ってしまい、準備不足のため

「待った」

をかけるというように、何度も立合いをやり直すという行為は後を絶ちませんでした。

 

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そしてついに1991(平成3)年には、立合いの「待った(突っかけも含む)」に対して罰金を科すという何ともお粗末な条例(?)が出されることとなりました。

その頃は私も熱心な大相撲ファンだったのでよく覚えています。

明らかに突っかけた方が早すぎて悪いと思える場合でも、「喧嘩両成敗」で両者に罰金が科せられるなど、力士の間ではかなり不評だったように見受けられました(のちに罰金刑は廃止されました)。

それ以降も立合いに対する指導・取り締まりは折に触れて行われているようですが、意図的に呼吸をずらす行為は、近年むしろ顕在化しているように思えます。

 

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3.大相撲の本質を汚さないで!

「競技の開始を闘う力士に委ねる」という曖昧さを、様式美としてあえて守り続けるのであれば、最終的には各力士の自覚に任せるしかないのでしょうか…。

少なくとも、大相撲の本質的な魅力としての「立合い」を、力士自身が汚すことのないようにして欲しいです。

そして、相手と呼吸を合わせつつ自分の有利な体勢を作れるよう、プロの力士として立合いのスキルをちゃんと身につけて頂きたいと思います。

制限時間前からの、静かで緊迫感のある仕切り・立合いをぜひとも期待したいものです。

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次回は、大横綱双葉山が追い求めた究極の立合い「後の先(ごのせん)」についてお話しします。お楽しみに ♪

 

 

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