すなおのひろば

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「鉄剤注射」問題について<続報>:医療関係者は猛省を!

f:id:sunao-hiroba:20181219130434p:plain高校駅伝の一部の強豪校で、貧血治療用の鉄剤注射が「競技パフォーマンス向上」を目的として不適切に行われていた、という問題についての続報が出ています。

医療従事者のはしくれである私にとって、この問題に医療界が深く関与していたことに落胆と憤りを感じています。

 

 

1.抜本的なルールの整備を

最初に、読売新聞からの続報について引用させて頂きます。

【使用が後絶たぬ鉄剤注射、「治療名目」も禁止へ】
高校駅伝の一部強豪校による鉄剤注射の不適切使用問題で、日本陸上競技連盟(陸連)は、貧血治療名目の鉄剤注射の使用を原則禁止とする方針を固めた。これまで鉄剤注射を使わないよう警告にとどめてきたが、注射の使用が後を絶たないためだ。年度内に指針としてまとめ、中学生から社会人までの陸上選手、指導者に周知する考えだ。

f:id:sunao-hiroba:20181219111818p:plain鉄剤注射は重度の貧血治療に使われる一方、持久力を高める効果があるとして、女子長距離選手を中心に2000年頃から全国に広まった。過剰使用は肝機能障害などを引き起こす恐れがあるため、陸連は16年4月、「アスリートの貧血対処7か条」として文書にまとめ、体への危険性を警告した。しかし、「治療目的」を名目に使用は続いていた。

陸連によると、指針では、鉄剤注射に伴う危険性を明記し、貧血でも安易な注射は禁止する。経口の鉄剤で貧血に対処する方法も示す。

引用元:読売新聞 2018/12/19(水)配信


今回、日本陸連から一定の方針が示されたことは、それなりに評価してよいでしょう。

しかしながら、今回の問題の背景には、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)や国際陸上競技連盟といった国際機関において「鉄剤注射」が正式にドーピングと規定されていないことから、それに追随する日本陸連としては「治療名目」での使用に歯止めをかけられなかったという側面もあるのではないかと思われます。

そういう意味では、早急かつ抜本的な国際的ルールの整備が必要なのでしょう。

ただ、禁止薬物問題では常に「ルールの抜け穴を突く不正行為」と「規則や検査手法の改定」のいたちごっこが続くものですから、根本的解決はなかなか難しいとも言えます。

 

2.医療関係者の責任を問う

この問題において、選手に鉄剤投与を勧めた競技指導者に責任があることは言うまでもありません。

f:id:sunao-hiroba:20181220093941p:plainですが、今回問題になっている鉄剤は、薬局などで店頭販売されている内服薬ではなく、あくまでも医師の処方のもと行われる「静脈注射」のことです。

ということは、医療機関(病院・診療所)の医師が主体的に関わっていることは間違いありませんし、看護師・薬剤師なども一部関与していることでしょう。

 

前回の記事でも述べましたが、報道の内容が事実であれば、ろくに血液検査もしないまま 「病気ではない(疾患名がつけられない)人に、健康に害を及ぼす恐れがあると認識しながら治療用の薬剤を注射した」ということになります。

これは医師法違反であり、診療報酬の不正受給に当たると考えられますが、これまでの報道ではそこまで踏み込んだ議論はあまり見受けられません。

実際に貧血状態を呈しており、「治療行為か否か」の判断が難しいケースもあったのだろうとは思いますが、それにしても違和感を覚えます。

マスコミに対し、医療従事者の組織団体から何らかの圧力でもあったのか(あるいは忖度しているのか?)と疑うほどです。

明らかに不適切とみられるケースについては、当然に医師法違反を問われなければならないでしょうし、診療報酬の不正請求と認定し返戻を促す等、厳正に処分すべきではないでしょうか。

 

3.防波堤になれなかった医療従事者

同紙の取材報道で、協力した医師の「地元の有力校から依頼され、断り切れなかった」といった主旨の談話が紹介されていました。

私がその医師に問いたいのは、「貴方にとっての真の雇い主は、病院経営者ですか? 政治力や特権をもった偉い人ですか? それとも一人ひとりの国民ですか?」ということです。


もし、駅伝の強豪校の理事長とか現場の指導者などから依頼があったとしても、「我々は国家資格者であり、国民の健康を守る義務があるのだ」といって毅然と断るのが医療従事者として当然のことではないでしょうか?

実はこれこそが鉄剤注射問題の本質であり、医師をはじめとした医療関係者がちゃんと「仕事」をしていれば、ドーピングに認定されていようがされていまいが、このような問題は未然に防止できたはずです。

医療従事者が「防波堤」になり得なかったことは、同業者として大変情けなく思います。

 


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私自身、これまでスポーツリハビリテーションにも少しは関わってきましたが、今回の問題について認識不足であったことを今さらながら恥じています。

これまで様々な薬害問題がクローズアップされてきましたが、にもかかわらず私たち医療従事者は一向に反省していないように思われます。嘆かわしいものです。

この問題に関わったすべての医療関係者に、改めて猛省を促したいです。

 

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