すなおのひろば

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【個人情報保護法についての基礎知識:その2】診療現場における個人情報保護対応

f:id:sunao-hiroba:20190716214942p:plain前回の記事(診療情報を適切に取り扱うための基本事項)を踏まえ、ここでは医療(介護)現場における個人情報・プライバシーに配慮した対応方法について、具体例を交えてご説明したいと思います。

例によってやや単調ではありますが、接遇対応と関連の深い内容も含まれますので、医療・介護従事者の方々に参考にして頂けると幸いです。

 

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※当記事の作成にあたり、下記のウェブページを参考に(もしくは一部引用)させて頂きました。

www.ajha.or.jp


⇒参考資料:個人情報保護法に関するQ&A

 


 

1.個人情報保護対応Q&A

 

Q1)利用目的の通知

 

医療専門職の実習生にカルテを閲覧させる場合、患者様の同意は必要でしょうか?

● Answer ●
想定される利用目的について、【患者への医療の提供に必要な利用目的】と【上記以外の利用目的】が厚労省ガイドラインに示されています。
これを明記した院内掲示をすることで、法的には「暗黙の了承を得た」と解釈できます(下図参照)。

 

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実習生に特定の患者様を継続して担当させる場合などは、個別に承諾を得るとさらに良いでしょう(養成校や各医療機関で考え方・対応は若干異なるようですが…)。

 

Q2)学会発表等について

 

特定の患者様の症例を発表する際、氏名を削除していれば「匿名化」したということで問題ありませんか?

● Answer ●
一般的には氏名の削除により匿名化したことになります。しかし、氏名を削除しても充分な匿名化が困難な場合は本人の同意が必要とされます。

 

匿名化については、個人名を推定できるようなイニシャルの使用は避けましょう。
非常にめずらしい症例など、匿名化しても個人情報が容易に特定できてしまう場合もありますね。
学会発表では患者様の画像を用いる事もあります。顔写真は目の部分を覆っていればよいという考え方もあるようですが、充分とは言えません。
やはり外部に特定の症例を出す場合は、個人情報を伏せていても念のため当該患者様に了承を得た方が良いと私は思います。

 

Q3)館内放送の是非

 

館内放送で、患者様やご家族様の氏名をお呼びしても良いのでしょうか?

● Answer ●
業務の円滑化、また医療安全上の観点(取り違え防止)からも、必要最小限に抑える努力をした上で呼出しをすることについては、法に抵触しません。

 

ただし、放送を希望しない患者様に対しては、その旨を事前に申し出て頂ければ適宜対応することを明示しておくのが望ましいです。

 

Q4)外来でのプライバシー対応

 

診察室前の長椅子に、次の患者様を待機して頂くようにしていますが、診察中の話し声が漏れてしまうようです。どのように対応すべきでしょうか?

● Answer ●
いわゆる「中待合(なかまちあい)」については近年、保健所の立入り検査でも厳しく指摘されるようになり、多くの病院では撤去されているはずです。

 

個人情報保護法というよりも「プライバシー保護」の観点で、診察室と待合室の空間的距離や、音の遮蔽には充分留意すべきですね。

 

Q5)病室の名札掲示

 

病室における患者様の名札掲示についてはどのように対応すべきでしょうか?

● Answer ●
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名札の掲示は「取り違え防止」の観点からも必要です。患者様からの要望に応じて非掲示(あるいは偽名)にするなど、個別に対応することを明示していれば問題ありません。

名札を掲示できない場合の医療安全対策としては「患者識別用リストバンド」など、他の確認ツールを活用している病院も多いですね。

 

リハビリ室や病棟ナースステーションのホワイトボードなど、第三者の目に付く場所に患者様の名札を掲示していて、保健所から指摘を受けたケースもありますね…注意しましょう。

 

Q6)面会者への対応

 

見舞い客と思われる人から、患者様の名前を言われて病室の場所を尋ねられた場合、どのように答えたら良いでしょうか?

● Answer ●
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以前の接遇記事(『接遇ロールプレイング③…見舞い客への対応』)でも述べましたが、その場で安易にお答えしない方が良いでしょう。

①患者様への事前確認(面会者の選別・謝絶について)
②面会窓口業務のシステム化(面会者の身分確認→面会カードの発行など)

上記のような対応が重要になります。

 

当該患者様が入院しているという事実は、個人情報でありプライバシーでもあります。充分留意しましょう!

 

Q7)電話への対応

 

患者様本人から電話があった場合でも、その都度本人確認をしなくてはならないのでしょうか?

● Answer ●
f:id:sunao-hiroba:20190712220801p:plain声や話し方で明らかに本人と分かる場合など、いちいち確認しない事も多いでしょうね…。

しかし「なりすまし」の可能性もあるでしょうから、診察券のID番号・氏名・生年月日くらいは最低でも確認しておきたいものです。

 

もちろん、家族と称する人から掛かってきたとしてもその場で用件に答えず、一旦切ってこちらから掛け直すのが望ましいです(話の内容等から明らかにご家族様だと推測できる場合もありますが…)。

 

Q8)患者・家族への告知

 

悪性疾患であることが判明した場合でも、まず本人に真実を告げて了承を得てからでないと、ご家族様に病状説明を行なえないという事になるのでしょうか?

● Answer ●
法的には家族も第三者として位置づけられるので、杓子定規に考えればそうなるようです。

 

あらかじめ、本人に「どの家族に話してよいか」を聞いておくことが望ましいとされます。
が、あとはケースバイケースでしょうね…。

 

Q9)日常業務での個人情報の廃棄

 

血液などの検体や点滴ボトルを廃棄する際、患者名の入ったラベルを剥がさなくてはなりませんか?

● Answer ●
個人が特定できるラベルであれば、剥がすか、消さなければなりません。
あるいは特段の注意を払って、廃棄の最終段階までラベルが他者の目に触れないようにする必要があります。

 

電子カルテの普及が進んだとは言え、紙の指示箋やラベル類は未だに多用されています。
シュレッダー廃棄のルールなど、各医療機関できちんと決まり事を作っておきましょう。

 

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Q10)「同意なき第三者提供」の例外規定

 

本人の同意がなければ、どんな場合でも個人情報を第三者に提供してはいけないのでしょうか?

● Answer ●
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人の生命・身体・財産の保護のために必要がある場合で、本人の同意を得ることが困難な場合は、事前の承諾が無くても第三者に提供することが可能です。

大規模災害や重大事故への対応がこれに当たります。
怪我人が多数搬送された医療機関が、家族からの安否確認に対し回答できず混乱を招いたという事例も過去にはありました。
こういう場合は、病院長などが情報開示について迅速に判断すべきでしょう。

 

児童・高齢者の虐待についても同様です。
虐待を受けている本人もそうですが、加害者である家族からの同意など得られるはずがありませんからね。


★以下の場合、本人の同意を得る必要は無い。

Ⅰ.法令に基づく場合
①医療法に基づく立入検査。
②警察・検察・弁護士会等からの法に基づく照会(捜索令状など)があった場合。

Ⅱ.人の生命・身体または財産の保護に必要な場合
①意識不明の患者や認知症高齢者の状況を家族等に説明する場合。
②大規模災害や事故等の緊急時に、患者の家族等から情報提供依頼があった場合。

Ⅲ.公衆衛生・児童の健全育成のために必要な場合
①地域がん登録事業において地方公共団体から情報提供依頼があった場合。
児童虐待に係る通告。

Ⅳ.国等に協力する場合
①税務署等からの情報提供依頼、統計法に基づく一般統計調査等。


 

Q11)情報漏洩時の責任の所在

 

守秘義務に反して診療情報の第三者提供や漏洩を行った場合、どのような罰則があるのでしょうか?

● Answer ●
個人情報保護法に規定される刑事罰は、

『30万円以下の罰金』または『6ヶ月以下の懲役』

となっています。

同法とは別に、国家資格者はそれぞれの資格法で守秘義務違反を問われます。
例えば…

保健師助産師看護師法:30万円以下の罰金または6ヶ月以下の懲役
理学療法士及び作業療法士法:50万円以下の罰金

また民事賠償に至ったケースでは、1人あたり数千円~数万円という過去の判例があります。

 

個人情報の組織管理や職員の教育体制が不十分とみなされる場合、漏洩した本人だけでなく、監督者の責任も問われることとなります!


★情報漏洩事故には、迅速かつ適切な対応を!

①事故を発見した者は、速やかに事業所内の責任者に報告する。

②事故の原因を調査し、引き続き漏洩が起こる可能性があれば、早急に対処する。

③当該患者・家族等に対し、事故に関する説明を行うとともに、行政に報告する。

④今後も同様の事故が発生しないよう、再発防止策を講ずる。


 

2.さいごに…医療機関における個人情報保護の意義

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平成15年の同法成立当時、医療現場では「病室の名札掲示ができなくなるのでは…」といったデマも流布されました。

診療情報が外部に漏れないようにするため、できるだけ個人情報を使用しないよう消極的に管理するほうが良いかのように言われたものですが、そうではありません。

厚労省ガイドラインその他の資料にも「事前の同意(意思確認)」というキーワードが多用されているように、利用目的や利用範囲が守られるよう安全に管理し、同意に基づき適切に活用する事こそが大切なのです。

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そのためにも、今回ご説明した例外規定なども含め、法的な解釈を医療従事者としておおよそ把握しておきましょう。
その上で、杓子定規な対応にならないよう接遇技術をうまく活用していけば、無用なトラブルは防げるものと考えます。

個人情報・プライバシーが守られるよう、あくまでも患者様目線で配慮しましょう。
それが我々医療従事者の責任であり、義務なのですから…。


最後までご覧下さいましてありがとうございました 

 

 

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