このシリーズでは、あまり程度の宜しくない残念な理学療法士(PT)の見極め方について述べていきます。
病院等で医療(リハビリ)を受ける一般の方々にとって参考になれば良いかと思いますが、逆に医療従事者にとっては不快な内容・表現も含まれる可能性があります。
閲覧注意(?)です。
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1.敬語を使わない医療従事者への違和感
読者の皆さん。PTに限らず、患者さんに対し敬語を使わない医療従事者が多いと思いませんか?
これまでの記事にも述べたように、私がPTになった最初のきっかけは自分自身が病気になり入院したことでした。
ただ諸事情により私は当時小児病棟へ入院したので、医師や看護師が敬語をあまり使わないのはその頃全く気になりませんでした。患者さんはみんな子どもですからね。
とは言え、厳密には子ども(未成年)であっても「患者さん(=お客様)」であることに違いはないのですが…。
ともかく、私が医療従事者としてこの業界に身を投じて最初に感じた違和感(嫌悪感)が、この「タメ口」でした。
相手が「人生の大先輩」である高齢者であっても、平気でタメ口を使う医療者は後を絶ちません。
一体どうしてなのでしょうか?
2.私が考える「例外事例」
患者さんに対し、あえて敬語を使用しない「例外」の場面は、以下の通りです。
①「掛け声」をかける場合
これはPTの業務に多いのですが、筋力測定とか様々なトレーニングの場面では、
「はい、しっかり脚を上げて! そう、もっと!!」
というように、ちょっと強い口調でメリハリをつけた掛け声をかけた方が、患者さんは効率よく筋力を発揮して下さいます。
これは脳科学的にも妥当なものと言えます。
②患者さんが子どもの場合
子どもに対して医療を提供する際は、医療者側があえて「年長者」らしく振る舞った方が良い場面も時にはあるものです。
例えが適切ではないかもしれませんが、学校の先生と児童(生徒)の関係がこれに近いと思われます。
③言語理解に障がいを持つ患者さんの場合
例えば難聴の方や、認知症の高齢者などです。
そのような方々の場合、語句・文節が長くなればなる程、うまく意図が伝わらないことがあります。
これについては多くの医療従事者の方々も経験的に納得して頂けるものと思います。
1)「おはようございます、◯◯さん。今日の朝食は召し上がりましたか?」
2)「◯◯さん、今日は朝ごはん食べましたか?」
3)「◯◯さん、朝ごはん食べた?」
1番目の尋ね方で伝わるならそれに越したことはありませんが、ジェスチャーなども交えながら3番目の聞き方をしてみて、ようやく理解して頂けるということもあるものです。
3.タメ口の背景には「奢り」が…
医療従事者が敬語を使わない理由として、前記③を引き合いに出すことが多いようです。
「だって、文章が長くなると伝わらないからね。そういう場合は仕方ないよ」
というわけです。
しかしそういう医療従事者に限って、難聴でも認知症でもない患者さんに対し場面を問わずタメ口を多用していたりしているので、全くもって説得力がありません。
私が分析する「医療従事者が敬語を使わない理由」は、以下の通りです。
①「世話をしてやっている」という心理
例えば私たちが家電量販店にテレビを買いに行くと、
店員の方が
「お買い上げ頂き、ありがとうございます」
と言うのが普通です。
逆にお客様が店員に向かって
「良いテレビを売って下さってありがとうございます。どうもお世話になりました」
などとは通常言わないと思います。
けれども、病院では
◯◯先生にリハビリしてもらったおかげで、私こんなに良くなりました。ありがとうございます!
どうもお世話になりました ♪
いえいえ~。△△さんも頑張ってね!
こんなやりとりも珍しくありません。
お客様が感謝感激雨あられ、店員は「どや顔」。
これがまさに医療業界の摩訶不思議です。
こういう事が日常的に続くと、医療従事者たちはそのうちに勘違いしてしまいます。
※余談ですが、PTなどの療法士は患者さんから「先生」呼称されることがよくあります。それもまた勘違いの元なのかもしれませんね…。
実際のところリハビリテーションとは、基本的に患者さんの自助努力によって成り立つものです。
患者さんの状態が改善したという場合、頑張ったのはあくまでも患者さん自身であり、担当PTはそのための道筋をつける「援助者」でしかありません。
私が言うのも何ですが、PTのやっている事なんて患者さんの血のにじむような努力と比較すると、所詮その程度のものなのです。
ところが、自身を客観的に見ることのできないPTはそれが分からず、あたかも「自分の介入のおかげで患者さんが良くなった」と思い込みがちです。
「私はそんな風には考えたこともない!」
というPTの方々も沢山いらっしゃるでしょう。
しかし「我々が世話をしてやっているのだ」という感覚は、多くの医療従事者のなかに無意識的に存在しているように感じます。
患者さんへのぞんざいな言葉づかいにその「無意識」が見え隠れしていると考えるのは、私の邪推なのでしょうか…?
②親しみを込めている(という勘違い)
確かに、敬語で堅苦しく話しかけるよりも少し気さくに声かけした方が…という場合も無くはないです。
しかしながら、「タメ口」でなければ親しみを込められないとか、信頼関係が築けない…というのではそもそもプロの医療従事者とは言えないのではないでしょうか?
大体、本当に患者さんは「気さくで良い職員」と思って下さっているのでしょうか?
もしかすると、不快には思っているものの遠慮して口にできないだけかもしれません。
それに少し本題から外れますが、タメ口で築いた患者さんとの人間関係など怪しいものです。
「信頼関係」と「なあなあ」そして「依存(甘え)」は紙一重であり、ヘタをすると何かのきっかけで患者⇔医療者の関係性は一気に破綻してしまいます。
患者さんと適度な心理的距離を保つことは色んな意味で重要であり、そのためにも敬語の使用は(例外的な場面を除いて)必須であると私は考えています。
③勉強不足(接遇教育の不徹底)
まぁ敬語の習得などというものは本来、職場教育以前の問題であり、家庭教育とか義務教育で徹底されるべきことではないかと思うのですが…。
そうは言っても、ホテルとか百貨店などの従業員に対して行われているものと同等の接客(接遇)教育が、医療業界でなされているかとなると、大いに疑問です。
認知症患者さんへの対応とか「掛け声」のように、状況に応じて言葉づかいを崩す必要は確かにあるのですが、
「基本が身についていないのに、適切な崩し方など分かるはずも無い」
これが私の持論です。
前述の
「◯◯さん、朝ごはん食べた?」
の例で言えば、
◆食べる
⇒丁寧語:食べます
⇒尊敬語:召し上がります(主語は相手)
⇒謙譲語:頂きます(主語は自分)
こういう正しい活用方法を理解しているからこそ、
おはようございます、◯◯さん。今日の朝食は召し上がりましたか?
あぁ、わしは全部食べたよ。そういうあんたは食べたのかい?
えぇ、私も頂きましたよ。お気遣いありがとうございます。
このように正しい敬語を用いた会話が可能になりますし、必要に応じて一部を崩す(診療場面によってメリハリをつける)こともできるのだと思います。
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4.敬語を使わないPTに「ダメ出し」を!!
ともかく、医療従事者の言葉づかいの稚拙さについては由々しき問題であると私は考えています。
PTになって21年、色々な医療・介護施設で働いてきましたが、どの職場でも大きな違いは無く、一向に改善される気配はみられません。
医療機関はすでに「選ばれる時代」になっていますから、接遇教育を徹底していかなくてはならないのは言うまでもありませんが、患者さんの側も敬語を使わない(使えない?)PTないし医療従事者には「NO!」を突きつけるべきでしょう。
しかしそうは言っても、患者さん側は「お世話になっている」という感謝あるいは遠慮から、職員の言葉づかいが気に入らなくとも、面と向かってクレームをつけるということはしにくいものです。
ただ、それを察することもできないのが多くの医療従事者の現実であり、「奢り」なのだろうと思います。恥ずかしながら…。
例えば病院内に「意見箱」のようなものが設置されていれば、それを活用して頂くのもひとつの方法ですね。
「あのリハビリの先生はちょっと…」といって担当者の変更を要求されるのは、私自身も(敬語とは別件で)経験済みですが、PTにとっては最も屈辱的なものです。
逆に言えば、それくらい「良い薬」になるということでもありますので、患者さん(およびご家族)の側としては「タメ口」のPT(医療従事者)を徹底的に排除して頂きたいところです(こちらがお願いするのもおかしい事は百も承知ですが…)。
次回も、接遇関連のお話を続けていきたいと思います。
最後までご覧下さいましてありがとうございました m(_ _)m
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