すなおのひろば

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【こんなPT要注意!:その3】「心付け」を嬉々として受け取るPT

f:id:sunao-hiroba:20190327120540p:plain親戚や知り合いなどから「医療従事者に対して心付け(謝礼の金品)は必要か?」と聞かれる事がよくあります。

我々医療従事者の立場から言えば「全く必要なし」というのが結論ですが、一部ではまだ悪習として残っており、なかには当然のように受け取る者もいるようです。

※今回の内容も、私と同業者の方にとっては耳の痛い話、あるいは一部反論もあるかと思います。閲覧注意です。

 

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1.主治医・執刀医への心付け

例えば手術を受ける場合、事前に執刀医に対して手渡す金額は◯◯万円くらいが相場…といったような話は今でも耳にすることです。

f:id:sunao-hiroba:20190327121205p:plain私が以前勤めていた病院でも、ある整形外科医にはそういう噂が絶えませんでした。

さすがに「まとまったお金を渡さなければ、まともな手術をしてもらえない」というような事はまず無いでしょう(しかし絶対に無いとも言い切れません)が、「2ヶ月待ちが、2週間待ちに短縮される」くらいの事は実際あったようです。

そしてその医師が入職して以降、手術後のリハビリ対象患者さんから担当PT・OTへの「心付け」が急激に増えたことも事実です。

患者さん側からすれば、「主治医に渡しているのだから、担当のリハビリの先生にも…」と考えるのも無理はないと思われます。

 

2.足並みを揃えて対応したいのに…

最近ではほとんどの医療機関で「心付け一切お断り」という方針を明示していることと思いますが、私のいた病院では甚だ不十分でした。

そこで私はこのポスターを自作し、リハビリテーション室の壁面5ヶ所、とくに患者さんの目につきやすい場所にベタベタと貼り付けました。

余計な掲示物を貼りまくるのは美観を損ねるので不本意でしたが、やむを得ません。

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いま改めて見てみると、「心付け禁止」を表わすイラストは視覚的には分かりやすいとも言えますが、まるで「患者さん側の禁止行為」を取り締まっているようにも見えるものであり、ちょっと不適切ですよね…。
あえて恥を忍んで公開しております (;^_^A 

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さらに、リハビリ開始時には「リハビリテーション実施計画書」に基づき今後の診療方針をご説明するのですが、そういう機会に「あちらのポスターにもございますように、お心付けに関しましては…」とアピールするようにしました(こちらから言うのもまた恥ずかしいことですが)。

それでも、病院全体で足並みを揃えた対応ができていなかったため根絶するのはなかなか難しかったです。
実際、医師や病棟の看護師などは普通に受け取っていましたからね…。

 

3.心付けの意味合い

患者さん(ご家族)からの心付けには、

①治療開始前に、「これでよろしくお取り計らい下さい」

②治療終了後に、「お世話になり、ありがとうございました」

大きくこの2つのパターンがあると思われます。

f:id:sunao-hiroba:20190327121313p:plain前者については、金品を受け取ったからといって特段の優遇をするようなことは、療法士の領域では私の知る限り「ほとんど」あり得ないでしょう。

しかしながら、「心付けの有無で診療内容等を差別する」という一部の医療者の行為が根源となっている面も完全には否定し難いです。

実際にそういう事をすれば収賄罪や脱税に問われる可能性もあり、全く論外です。

対策としては医療機関なり医療従事者が問題意識を持ち、違反行為については一刀両断すればよいというごく単純な事ではありますが、それゆえ逆に「根が深い」とも言えます。

後者については診療が終了してからの事ですから、優遇措置などと関係なく純粋な感謝の気持ちの表れでしょう。

医療従事者の接遇が「患者さんへの思いやり・いたわりの気持ちを形にして伝える」手段であるのと同様、患者さんの側も、医療者への謝意を形にして表わして下さっているのだと思います。

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感謝の気持ちが湧き上がってくること自体は人として自然であり、私たち医療者はその「思い」を謙虚に、ありがたく受け止めるべきでしょう。

けれども我々は医療人として当然のことをしただけであり、ましてやその医療サービス提供により公的制度に基づく収入(診療・介護報酬)を得ているわけですから、それ以上の対価を受け取る道理はありません。

 

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4.勘違いする医療従事者に「喝!」

正直、かつて私自身もお断りしにくい状況・雰囲気の中で、やむなく受け取ってしまったこともあります。

記事の冒頭に「心付けを嬉々として受け取るPT」と、あえてインパクトのあるタイトルを打ち出してはいますが、現実にはあからさまに喜んで受け取るPTなど、ほぼゼロでしょう。

たいていは、

お世話になりました。ほんの気持ちですけれども…

いえいえ、お気持ちはありがたいのですが、受け取れないことになっておりますので…

このように最低でも一度はお断りするものです。

ですから、受け取るかどうかで「要注意PT」を判断することなど実際には難しいかもしれません。

ただ、「心付け受け取り禁止」という私の方針に異を唱えるスタッフもいたことは事実です。

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経験上、頑なにお断りして逆に患者さんとの関係性がギクシャクするといったこともありました。
しかしそういう理由ではなく、「科長の方針のせいで現金(!)を受け取り損なった」というものですから、開いた口が塞がりませんでした(ある意味、正直なスタッフですけどね…)。

ともかく、患者さんの心からの謝意を「自分の介入で患者さんを治すことができた」とか「医療従事者は聖職で、特別扱いを受けるのは当然なのだ」と解釈してしまう人も一定数存在することは確かです。

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なので、この場をお借りして

「医療従事者を勘違いさせないためにも、心付けはご遠慮下さい!!」

と、声を大にして申し上げたいです。

 

5.さいごに…頑張った自分を褒めて下さい

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リハビリに関して言えば、私たちPTは「しんどい事」や「ちょっと痛い事」を患者さんにお勧めしなければならない場面も多いものです。

それを受け入れ、頑張って下さっているのは患者さん自身であり、こちらはリハビリの専門職としてアドバイスをしたり、必要に応じて少し手を貸しているだけのことです。

そして我々は、治療法を選択する際には金品の授受に関わらず「患者さんにとって最適な手段」を考慮するのが当然の義務です。

 


f:id:sunao-hiroba:20181021124522p:plain感謝の気持ちを形にして表わして下さることは大変ありがたいのですが、まずは頑張った自分自身を褒めて頂きたいです。

そういう患者さんの姿を見ることが、私たち医療従事者にとって最高のやりがいなのですから…。

 

 

www.sunao-hiroba.com

 

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