すなおのひろば

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【腰痛とともに生きる:その4】日常生活動作の工夫…①深夜~早朝の腰痛を防ぐために

f:id:sunao-hiroba:20190816223403p:plain起床時は頭がボンヤリして体温も下がり切っており、昼間と同じようには動けないため腰を痛めるリスクも高くなります。

この記事では、中高年の方々や既に腰痛をお持ちの方にとっての「デンジャラス・タイム」である深夜~早朝の留意点について述べていきます。

※前回までの記事では腰椎分離症や女性に多い側弯症など、胸・腰椎に関連する疾患の説明を一部省略してきましたが、それらについても日常生活上の注意点は概ね共通していますので、何らかの参考になれば幸いです。

 

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1.起床時の留意点

朝起きる時や深夜にトイレへ行く際は、脳がまだ完全に目覚めていないため運動能力は確実に落ちています。
基礎代謝・血圧(血流)も就寝時には最も下がっているので、体は冷え切っています。

そういう時には、関節を痛めたり転倒したりするリスクが高いのは当然です。

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横になっていても立位・歩行の時も、人体の重心は常に骨盤~腰部(正確には仙骨部)にあります。

肉月に要(かなめ)で「腰」とはよく言ったものですが、体の中心付近であるがゆえに、負担が掛かりやすいものなのです。


特に、朝は最も腰を痛めやすい時間帯であることをまず認識しておきましょう。

 


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右のイラストのように腹筋を使ってガバッと「正面起き」する人がいますが、上半身の過度な前屈(腰椎の後弯)は、腰に強い負担を掛けてしまいます。

以下、適切な起き上がり方法をご説明します。

1)寝返り

起き上がるに際し、まずは以下のような寝返りをしてみましょう。

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上半身と下半身を捻らず、丸太を転がすように寝返ります。

圧迫骨折の患者さんに対してよく指導する方法ですが、慢性腰痛の方にも適応できます。


このあと、布団 or ベッドのいずれかで起き上がり方法は異なりますが、基本的にはベッドの方が腰への負担は少ないです。

2)床からの起き上がり

布団の横に、しっかりしたイスや台を設置しておきましょう。

※一般的なイスの座面高は大体40cmです。

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最も難しい(痛みが強くなる)のは、寝返り姿勢→体を起こすまでの間ですが、そこを乗り切れば何とかなるでしょう。

※寝る時は逆にへ戻ります。

 

若干ややこしく感じるかも知れませんが、冷え切った腰に掛かる負担を減らす方法として、いちど練習してみることをおススメします。

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「布団の横に台を置くスペースなんて無い!」という人もいらっしゃるでしょう。

私の寝室もそうです(^_^;)

なので私は代わりに壁を支えるようにしています。

3)ベッドからの起き上がり

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脚の重みを利用しながら、下へ降ろすと同時に上半身を起こすような感じです。

「勢い・反動」をつけず、肘→手で支えながらゆっくり起きましょう。

 

2.起床後の活動についての留意点

やっと布団から出ても、様々なトラップがあなたを待ち構えています。

1)布団の収納は体が温まってから

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朝一番から、中腰で重い物を持ち上げるのは厳禁です!

万全を期すなら、布団を畳んだり収納したりするのは起床してから2~3時間後にしましょう。

布団の敷きっぱなしはあまり行儀良くありませんが…。

2)洗顔する時は…

前かがみで顔を洗う際にも、背部~腰には結構負担が掛かっているものです。

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クレーンや釣り竿を想像すると、どこに負荷が加わるか分かりやすいですね。

 

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力学的にみて、片脚を台に載せると負担が軽くなることがご理解頂けるでしょうか。

台が無ければ、脚を前後に開くだけでも少しはマシです。

3)背伸びはキケン!

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高い所にある物を取りに行くのは、2つの意味で危ないです。

ひとつは、腰を過剰に反らしてしまうことです。
前かがみになるよりはマシですが、それでも急激にやると負担が掛かることに変わりはありません。

ふたつめは、両手を挙げることで重心が高くなり、背伸びするとさらにバランスを崩しやすくなるからです。

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ヘタをすると後方へ尻もちをついて圧迫骨折なんてことも…。


洋服などは、程よい高さに掛けておくようにしましょう。

4)靴下・靴を履く時は…

靴下や靴を履く際は、やはり腰椎を過度に前屈しがちです。

また、立ったまま履こうとすると転倒の危険もあります。

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イスなどに座って履くようにしましょう。

 

ひも靴は、結ぶ際に前かがみになる時間が長く、腰痛の人にはツラいことも…。

以前ウォーキングシューズの記事でも述べましたが、マジックテープやファスナー付きの靴は着脱の際、腰に優しいのでおススメです。

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※写真の靴は、私と妻が普段履いているものです。

 


着脱のしやすさを重視して靴ひもをユルユルに結んでいる人もいますが、靴の適合性が悪いと足腰を痛める原因にもなるので、かえって良くありません。

 

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3.寝具について

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敷き布団やベッドのマットレスについては、よく患者さんから「硬い方が腰にイイの?」と尋ねられます。

私の知る限り、硬い方が腰痛になりにくいという信頼できる統計データを見たことがありません。
枕の硬さ・高さなども諸説ありますが、同様です。

なので結論から言えば「個人のお好みで選んで下さい」となりますが、それでは身もフタも無いので、それぞれの利点・欠点は示しておきます。

1)硬い面の上では動きやすい

支持面が硬くてしっかりしているほど、起き上がり・立ち上がりなどの動作はしやすくなります。

f:id:sunao-hiroba:20190816183344p:plain一方、要介護高齢者向けの「床ずれ防止マットレス」などは、寝ている時には背中に掛かる圧を分散できるものの、ベッド端に座ったり、そこから立ち上がったりする時には全体的にグニャグニャしているので少しやりにくくなります。

2)柔らか過ぎても、硬過ぎても…

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先述のように人体の重心は骨盤付近にあるので、柔らか過ぎると腰が極端に沈み込むようになります。

一方、硬過ぎても局所に圧が集中しますが、やはり骨盤(仙骨)には最も強い圧が掛かります。

寝たきり高齢者に、仙骨部の床ずれが多発するのもそのためです。

すなわち、理論的には身体の下面に対し均等に圧が掛かれば腰への負担が少なくなるので、程よい柔軟性と反発力を兼ね備えたものが良いということになります。

ただ、多くの人は寝ている間ずっと仰向けで動かないわけではなく、何度も寝返りを打ったりしますので、必ずしも理論通りにはいかないと思います。


f:id:sunao-hiroba:20190816183954p:plain原理的にはご理解頂けたと思いますので、あとはそれぞれ自分に合った寝具を試して頂ければ良いでしょう。

ともかく、くれぐれも「硬い方が良い」という俗説を信じて、不適合な寝具に耐え続けることの無いようにして頂きたいものです。

 

ちなみに私は畳の上に布団を敷いていますが、硬くも柔らかくもない中間ぐらいが好みです。

3)その他の工夫

膝から下に座布団などを敷いて少し高くすると、足腰の筋肉の緊張が緩み、腰に掛かる負担が減少すると言われています。

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昔から推奨されている古典的な方法ですが、私には適合しているようで、いつもこのスタイルです。
寝返りを打つと脚が少しズレてしまいますが、あまり気にはなりません。


しかし逆に腰痛が強くなったという人もいますので、これも個人差や好みがあるということは申し上げておきます。

 

4.さいごに

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いわゆる「ギックリ腰(急性腰痛症)」は、慢性腰痛と同じで原因部位がハッキリしないものですが、腰椎の過度な前屈が椎間関節(背骨の上下間をつなぐ関節)や椎間板などに損傷を与えていることは間違いないでしょう。

一般的には前かがみで重量物を持ち上げた時に起こると言われますが、靴を履く際や、床に落とした硬貨を拾おうとした時など、単に前屈しただけで起こったという症例も意外に多いものです。

そして、そのようなケースでは朝の起床直後~午前中のうちに生じていることが圧倒的に多いです。

 


f:id:sunao-hiroba:20181113200429j:plain冒頭で述べたように、腰痛リスクがある方にとって朝はまさに「デンジャラス・タイム」です。

特に起床直後の動作には充分注意して下さいね。

床からの起き上がり方法など、すぐに身につくものでもありませんので、体が温まっている午後に練習しておくと良いでしょう。

 

次回以降は、時間帯にかかわらず注意すべき日常生活上の姿勢・動作について述べていきたいと思います。

最後までご覧下さいましてありがとうございました m(_ _)m

 

 

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