すなおのひろば

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【理学療法士をめざす人へ:その11】理学療法士は安定した職業か…①調査結果から考える

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「社会的・経済的に安定した職業」という理由で理学療法士(PT)を志望する方がいるということを、以前の記事(その1:志望動機について)でも述べました。

実際のところ、日本社会におけるPTの需要と供給のバランスや、給与などの待遇面を含めた職業としての安定性、そして将来性はどうなのでしょうか?

これからPTをめざす皆さんが職業選択をする上で参考になればと思い、いろいろと考察してみました。

同時に、現在すでにPTとしてお勤めの方々にもご一読頂けたら幸いです。

 

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※当記事の作成にあたり、下記のウェブページを参考にさせて頂きました。

www.mhlw.go.jp


理学療法士・作業療法士需給分科会

 


 

1.将来の需要は予測できるか

我が国でPTが産声を上げた1966(昭和41)年以降、国家試験合格者数は累計約15万人(2018年現在)と見積もられています。

現在、医療・介護施設等の現場で勤務をされている方は、10万人を少し超える程度とみられます。

そして毎年約1万人、増加し続けています。

国の政策として今後も毎年1万人のペースでPTを作っていくかどうかは、今後どれくらいの需要が見込まれるかによります。

厚労省理学療法士作業療法士需給分科会』の会議資料にもあるように、

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上記の考え方で需要数を推計すればよいのでしょうが、実際のところ「将来のリハビリ需要」がどの程度あると見込まれ、「需要あたりのPT数」が何人くらいであれば望ましいのか、といった肝心なところが明らかでない限り、必要な人員数を正確に割り出すことは難しいです。

事実それが不透明だからこそ、現在も厚労省で継続審議がなされているわけですから…。

とはいえ、「そんなの予測できない!」と開き直ってみても仕方ありませんので、現在の社会情勢や医療・介護現場の状況などから今後の趨勢を予測し、見極めていくしかありません。

しばし我慢してお付き合い下さい。

 

2.施設基準上は充足しているが…

まずは厚労省の調査資料に基づき、医療施設におけるPTの充足度の現状から見てみましょう(図1)。

調査対象は、全国都道府県の病院(およびその病院に関連する介護保険施設等)です。

 図1:「現在、貴院において理学療法士の数は充足していますか?」

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※調査対象:病院・および関連する介護保険施設等(回答数:1,061施設)。

図表引用元:理学療法士・作業療法士需給分科会 資料(H28/8/5)『理学療法士・作業療法士・言語聴覚士需給調査』


このアンケート調査によれば、基準上はほぼすべての施設が充足しているものの(89.6%)、採算上充足しているについては60.4%、運営上は45.6%と漸減し、充足していないと答える施設の割合が増加していく傾向にあります。これはどういう事を意味しているのでしょうか?

<施設基準上の充足度>
まず「基準上」というのは、正確には「施設基準」のことを表しています。

例えば脳卒中の患者さんに対して「脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)」を算定するには、常勤のPTが5名以上必要となっています(その他、OTやSTを合わせた療法士全体数が10名以上、訓練室面積160㎡以上、などの細かい基準が設けられています)。

PT5名・訓練室面積160㎡以上というのは小規模な診療所等では厳しいかも知れませんが、中規模以上の病院であれば施設基準を満たすのはそう極端に難しいことでもありません。

「基準上は充足」の割合が高いのは、そういう単純な理由からであると考えられます。

<採算上・運営上の充足度>
まず運営上の観点から言うと(急性期・回復期・慢性期など、その病院・施設が特に重点を置いている分野にもよりますが)、調査結果にもある程度反映されているように、現場としては「足りてない」と実感している方々も多いと思います。

f:id:sunao-hiroba:20181125130647p:plain私が以前勤めていた病院(回復期病床無し・地域包括ケア病床有り)でも、PT・OT合わせて10数名程度と人手不足だったこともあり、療法士1名当たりの患者担当数が多く、同時に書類の作成やカンファレンスの参加等、周辺業務が非常に煩雑となり、患者さんの診療に差し支えることも少なくありませんでした。

そして、そんな多忙な中でも「1日当たりのリハビリテーション提供単位数」は一定のノルマが求められました。

当時部門長だった私を含め、人手不足に悩まされている現場サイドとしては「もっと人員を増やすことができればPT1名当たりの患者担当数を減らすことができ、それによって書類作成数も減少、そして1人の患者さんに対する実施単位数(個別にリハビリを行う時間)は相対的に増え、サービスの質も向上するのに…」というのが率直な気持ちではないでしょうか。

しかしながら、増やした人員がそれ相応に患者さんの診療を沢山こなしてくれなければ人件費だけが増える一方で、いっこうに採算が取れないという経営上のリスクもまた出てくるわけです。

ですから、現場サイドの増員要求に対し、病院経営者側が慎重(消極的)に考えるのも不思議ではありません。

その辺が、図1の採算上・運営上の円グラフの微妙なパーセンテージに表れているように思えます。

 

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3.「2025年問題」を見据えた増員の可能性について

図2は、いわゆる「団塊の世代」が後期高齢者(75歳以上)となる2025年、すなわち超高齢社会の到来を見越して、現在よりもさらに療法士の人員を増やす予定があるかどうかを調査した結果です。

図2:「2025年までに雇用を増やしていく予定ですか?」

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※調査対象:病院・および関連する介護保険施設等(回答数:1,061施設)。

図表引用元:理学療法士・作業療法士需給分科会 資料(H28/8/5)『理学療法士・作業療法士・言語聴覚士需給調査』 


これはすべての病院および関連施設を総合しての結果であり、回復期リハ病棟を有する病院だけに限局した調査では「増やしていく」の比率はもう少し高くなるのですが、全体として「増やしていく」の割合が「現状のまま」よりも高いことは変わりありません。

ここだけ見れば、まだPTの需要は当分の間は「ある」と言えなくもありません。

しかしその一方、「未定」と答えた施設の割合が相対的に高いことも見逃してはなりません。何故でしょうか?

ここに、先行き不透明で予測を立てにくい一面が表れていると言えます。


結論を後回しにして、じらすような文面で誠に申し訳ございません(汗)。

次回へ続きます。

 

 

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