腰痛シリーズもいよいよ最終回になりました ♪
今回は、腰痛体操についての内容です。
身体の局所に負荷を加える運動になりますので、実施にあたってはいくつかの点に注意し、無理なく行なって頂きたいです。
ここでは比較的安全に行なえるものに限定してご紹介したいと思います。
《スポンサーリンク》
1.はじめに…腰痛体操は補助的手段
当シリーズ第1弾(PTすなおが薦める腰痛対策 BEST3)で述べたように、セルフコントロールという観点で腰痛対策を考えるなら、
第1位:日常生活動作の工夫
第2位:ウォーキング&バランスの取れた食事摂取
第3位:ストレッチ&筋力トレーニング(=腰痛体操)
という優先順位になります(上位2つは「同率1位」と言っても過言ではないでしょう)。
すなわち、運動療法の中ではウォーキングが「全身の運動機能を平均的に底上げする」という意味で最も重要であり、腰痛体操は
◆何らかの理由(股・膝関節痛など)により、一定距離の歩行が困難な場合。
◆ウォーキングはすでに充分行なっていて、さらにプラスアルファの要素を盛り込みたい場合。
上記のようなケースに対して補助的に用いるものと私は考えています。
くれぐれも、「腰痛体操だけで腰痛が予防・改善できる」と思わないで頂きたいです。
私がここで腰痛体操を積極的に薦めていないもうひとつの理由があります。
それは、「日常生活動作の工夫」や「ウォーキング」が大多数の人に適応できる(=汎用性が高い)のに対して、腰痛体操はそれぞれの腰痛者の背景要因に応じて種類を選定する必要があるからです。
例えば腰痛の根本原因として変形性股関節症が隠れている場合、腰そのものではなく、まずは大殿筋・中殿筋・外旋筋群などの股関節周囲筋を鍛えることを優先することがあります。
膝関節症が腰痛の原因なら、太もも(大腿四頭筋)を鍛えるといった具合です。
しかしながら、ブログでの情報発信という性質上、個々の読者様の状態を実際に目の前で評価し、個別に情報提供するのは事実上不可能です。
※余談ですが、ベテランのPTでも腰痛の背景要因を的確に評価しベストなアプローチ方法を選定できる人はそう多くないと思われます。
従って、ここでは比較的汎用性があり、かつ充分安全なものに限定してご紹介します。
すでにさまざまな運動に取り組まれている方々にとっては「物足りない」と感じるかも知れませんが、上記につき何とぞご容赦下さい m(_ _)m
2.一般的な留意事項
腰痛体操は、無理をして行うものではありません。
自分の身体と対話していくつもりで、気楽に・気長に・気持ちよく続けましょう ♪
1)体操を行う際の注意点
◆運動中は、呼吸を止めてリキまないで下さい。
⇒血圧が急激に上がってしまい、危険です。
◆反動をつけないで下さい。
⇒筋肉・靱帯・骨などを損傷するおそれがあります。
◆ストレッチは、気持ちよく感じる程度まで。
⇒痛い所まで引っ張ると、筋肉などを損傷してしまいます。
2)体操を行わない方がよい場合
こんな症状が出現したら、すぐに中止しましょう!
①腰や脚の関節に強い痛みが出現し、数日後も持続する。
②脚に力が入りにくくなる。シビレが出る。
③息切れが激しく、脈拍がいつもより多い。
④胸・お腹に痛みを感じる。
⑤頭痛・めまい・冷や汗が出る。
上記のような場合、運動の可否について医師の判断が必要と考えられます。
主治医の指示に従い、適切に行いましょう。
3.腰痛体操の実際
しつこいようですが、体操を行なうにあたっての前提条件を先に示しておきます。
◆いずれの体操も、一定の姿勢で「3秒保持」としていますが、もう少し短くても大丈夫です。
◆体操の翌日、ストレッチ・筋トレを行なった部位に局所的な痛みが出ることは普通にあります(運動に慣れていない人は特に)。その場合は1日置きに行なってもよいでしょう。
◆実施後3日以上経っても痛みが続くようであれば適応外と思われますが、これも全てに共通です。
それでは、始めてみましょう ♪
1)ストレッチング
①腰そらし体操
腰椎の伸展を促すストレッチ運動です。
<方法>
※そらしたところで3秒保持します。
※腰をそらすことを強く意識しなくてもいいです(お尻を前に突き出す感じで)。
※視線は真正面に向けると無理なく行なえます(上を向かない)。
<回数>
5~10回(1日2セット程度)
<備考>
過去記事で述べたように、長時間座っていると腰椎は後弯を強制され、慢性腰痛の主たる原因となり得ます。この運動はそれを防止するものです。
1日2セットとありますが、座り仕事の合間など、少なくとも1時間に1回行なうとより効果的です。
最初の数回は痛いと感じることも多く、それが「腰をそらすことへの恐怖心」につながっている人もいるようです。
それでも5回、10回と続けていくうちに、スッと痛みが楽になる瞬間があります。
恐れずにゆっくり行なってみましょう。
②腰ひねり体操
お腹・背中・太もも外側の筋肉のストレッチです。
<方法>
※ひねったところで3秒保持します。
※顔は常に上を向いておきましょう。
<回数>
左右交互に3回ずつ(1日2セット程度)
<備考>
日常動作にはある程度の捻り要素が必要です。
痛みと相談しながら、極力ゆっくり行なってみましょう。
入浴後など身体が温まっている時に行なうと、より安全です。
上記と矛盾するようですが、腰の捻りは一方でリスクを伴います。
腰椎の関節はそれ単独でみると、基本的に捻り運動には対応していないからです。
また、固定術など脊椎の手術歴がある人、脊椎圧迫骨折の人は止めておいた方がよいでしょう。
ちなみに私は朝の起床直前に行なうことがあります。
その方が布団からの起き上がり動作が楽に感じられるからですが、早朝の運動は身体が冷えているため危険であり、一般的にはおススメできません。
あくまでも自己責任でお願いします (^_^;)
③膝伸ばし体操
太ももの裏側についている筋肉(ハムストリングス)のストレッチです。
<方法>
※伸ばしたところで3秒保持します。
<回数>
左右交互に3回ずつ(1日2セット程度)
<備考>
ハムストリングスは「骨盤の下部~太もも裏側~下腿骨」にわたって付着し、骨盤~腰椎の柔軟性に大きくかかわっています。
前屈が行かない人は、大抵この筋肉が硬いですね。
他にも以下のような方法がありますが、いずれにせよ無理すると余計に腰が痛くなるので、ゆっくりお願いします。
2)筋力トレーニング
①お尻上げ体操
お尻・腰・背中の筋肉を強化します。
<方法>
※上げたところで3秒保持します。
<回数>
適度に休憩しながら10回(1日2セット程度)
<備考>
この運動は過去記事ですでにご紹介しましたね。
「筋肉を強化」とありますが、普段あまり意識して使わない筋肉に対し、刺激を入れるのが主目的です。
なので、無理してガンガンやらなくても良いです。
「腰痛体操と言えば腹筋運動」というイメージがありますが、どちらかと言うとこの運動の方が重要です。
前かがみ姿勢は腰に負担を掛けてしまいます。背すじをしっかり伸ばすためにも、お尻・腰・背中の筋肉を適度に動かしておきましょう。
②おヘソのぞき体操
お腹の筋肉を強化します。
<方法>
※息を吐きながら、おヘソを見るように頭を上げます。
※頭を上げたところで3秒保持します。
<回数>
適度に休憩しながら10回(1日2セット程度)
<備考>
もっとガバッと上半身を起こす方法もありますが、リスクを伴うので最初はこの程度で良いでしょう。
「息を吐きながら、お腹をへこませる」ような感じです。
両手でお腹がへこむのを確かめながら行ないましょう。
筋力は強いに越したことはありませんが、腹筋が割れるほどマッチョになったからと言って腰痛が無くなるわけではありません。
前述のように、あくまでも背中側の筋肉を優先しつつ、腹筋にも適度な刺激を入れるという観点で、マイルドに行ないましょう。
《スポンサーリンク》
4.さいごに
腰痛を予防・改善するためには、正しい姿勢・動作を常に意識し身につけていく必要があります。
そして、ウォーキングに代表される全身運動で抵抗力を高め、痛みに負けない身体を作りましょう。
また、腰痛体操も行なうのであれば、日常の中で継続することが大切です。
無理せず、自分のペースで安全に行いましょう♪
読者の皆さまが腰痛という呪縛から解放され、穏やかな生活が送れるよう切に願いながら『腰痛とともに生きる』シリーズを締めくくりたいと思います。
最後までご覧下さいましてありがとうございました… m(_ _)m
《スポンサーリンク》