すなおのひろば

中高年の健康と若手PTの未来をサポートするブログ

【おてがる筋トレメニュー:その6】股関節の外転…ふらつきなく歩けるように

f:id:sunao-hiroba:20190302144546p:plain恒例の筋トレシリーズ第6弾は、股関節の外転運動()です。

高齢者の転倒で生じることの多い『大腿骨頸部骨折』。これによって股関節周囲の筋肉が弱くなると、骨盤がグラグラして歩き方が不安定になり、転倒の危険性がいっそう高まります。

また中高年以上の女性によくみられる『変形性股関節症』では、筋力低下により関節変形や可動性の低下、そして痛みをさらに助長させてしまいます。

今回も、そのようなリスクを予防・改善したい中高年~高齢者向けの運動になります。

※「外転(がいてん)」とは、医学用語で「手足を真横に広げる動き」のことをいいます。

 

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1.トレーニング用品のご紹介

前回に引き続き、足首に装着する重り(アンクルウェイト)をご用意下さい。

参考までに、私が長年愛用しているものはコレ(NIKE アンクルウェイト)です。

10年以上使っているので、すり切れてツギハギだらけですが…まだまだ現役です ♪

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重量は1.13kgと、なぜか中途半端…。

お値段は少し高めで2,700円くらいだったと記憶していますが、足首に巻きつけた時の感触が良いのでコレを選びました。

市販されているものの中にはもっと重いウェイトもありますが、今回ご紹介する筋トレは股関節にそれなりの負担がかかりますので、片側0.5~1.0kg程度の軽いもので充分です。

 

2.『股関節の外転』…実施方法

それでは、運動処方の4要素に沿ってご説明します。

1)運動の種類(方法)

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まずは、床に横たわって下さい。

①横向きに寝て…
⇒下側の手足で床を支えましょう。
⇒枕の高さはお好みで調節して下さい。

②足を上に広げる
⇒広げる角度は20°~30°くらいで充分です(広げ過ぎに注意)。
⇒「かかとを天井へ向ける」ようなイメージで行いましょう。
⇒上げたところで1~2秒止めてから、ゆっくり下ろしましょう。

右足を所定の回数実施したら反対側へ向き、左足も行いましょう。

これの繰り返しです。

2)運動の強度(負荷量)

股関節に負担をかけ過ぎないよう、負荷量は0.5~1.0kg(片足)とします。

杖などを使わずに歩ける人なら「ちょっと物足りないな…」と感じることと思いますが、目的を満たすためにはその程度で充分です。

※前回ご紹介した『【おてがる筋トレメニュー:その5】膝伸ばし運動』よりも、筋肉・関節にかかる負担は大きめです。
筋力が強くなってきたとしても、1.5kgくらいまでに留めておいて下さい。

逆に「0.5kgでもキツい」という人は、最初はウェイトを装着せずに行ってみましょう。

もしくは、別の方法として以下のように立った状態で行いましょう。この方が筋肉や関節には負担が少ないです。

両手は、イスとか壁を支えて下さいね。

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3)運動の回数

まずは、1セット5~10回くらいから始めてみましょう。

1.0kg以下の負荷量であれば大丈夫とは思いますが、股関節への負担を考慮し、念のため最初は少な過ぎるくらいがちょうど良いです。

そして翌日以降に関節痛や筋肉痛が悪化しなければ、徐々に15~20回くらいまで増やしましょう。

筋力UP・関節の可動性改善(→痛みの軽減)ともに、明らかに効果が出るまでには4週間程度はかかります。

1ヶ月経過したところで改善の程度を確認し、可能なら実施回数を上方修正しましょう。

4)運動の頻度

◆1日あたり:2~3セット(朝・昼・夕)
⇒厳密に決める必要はありませんが、できれば2セットは行いましょう。

◆1週あたり:3~4日(1日おき)
⇒高齢の方は関節痛・筋肉痛も考慮して、1日おきに行うと安全です。
⇒慣れてきたら、毎日行うとより効果的です。

 

3.運動の効果

主に作用している筋肉は、股関節の側面にある「中殿筋(ちゅうでんきん)」です。

効果・効能は以下の通りです。

1)筋力UP→骨盤の安定性向上・転倒予防

中殿筋は、図のように骨盤の側面から大腿骨にまたがる筋肉です。

そして「大腿骨頭(だいたいこっとう)」を回転中心として股関節の動きを制御するとともに、骨盤を安定させ、歩く時に上半身が左右へふらつかないように働いてくれています。

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以前『お尻上げ運動』でご紹介した大殿筋とともに、骨盤~股関節の安定化にとって大切な役割を果たす筋肉です。

併せて実施して頂けるとさらに効果UPです!

 

2)滑液の循環促進→股関節の可動性改善・痛みの軽減

関節を覆っている「関節包」の内部は、滑液(関節液)という液体で満たされており、関節の動きを滑らかにしたり、軟骨に栄養を供給したりといった重要な機能を担っています。

f:id:sunao-hiroba:20190223192548p:plain痛みがあるからといって動かさないでいると、滑液の産生・循環が滞り、ますます関節の動きが硬くなりますし、軟骨への栄養供給も乏しくなることでさらに股関節の変形を助長してしまいます。

低負荷で関節を繰り返し動かす筋トレは、筋収縮・弛緩による血流改善とともに滑液の循環も促し、可動性改善・痛みの軽減につながります。

 

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4.実施上の注意点

 

1)下側の手足を広げて支える

下側の手足を前方に広げ、しっかり身体を固定しましょう。

支えが不十分だと、足を上げた時にぐらつき、うまく力が入らなくなります。

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2)つま先ではなく、かかとを天井へ向けるイメージで

足は上半身のラインと一直線上になるよう、真横に広げます。

斜め前に振り上げてしまうと、股関節の側面(中殿筋)ではなく、前面の筋肉が使われてしまい目的通りの運動になりません。

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つま先を上げるのではなく、「かかとを天井へ向ける(横に広げる)」ようなイメージで行うと良いでしょう。

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3)ウェイトをつけたまま歩かない

若く元気な人は大丈夫でしょうが、筋力が弱い方は転倒の危険がありますので、ウェイトをつけたまま歩かないようにしましょう。

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こういう使い方が無いわけではありませんが、今回の運動とは使用目的が違います。
運動が終わったら必ず外して下さいね。

4)疾患をお持ちの方は

◆筋肉痛・腰痛・関節痛
◆動悸・息切れ・めまい・冷や汗 など

運動後にこれらの症状が悪化するようなら、負荷が強すぎるか、適応外の可能性があります。

今回のように足を真横に広げる運動は、日常生活ではあまり使うことのない動きなので、やり方を間違えると血圧の急激な上昇をまねくこともあります。

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実施する際は、

①息を止めてリキむのは避けましょう。

②勢い・反動をつけて行わないようにしましょう。


何らかの疾患を有しており現在医療機関にかかっている方は、当該筋トレの適応(やってよいかどうか)について、事前に主治医にご相談下さいませ。

 

5.まとめ

◆種類:股関節の外転

◆強度:0.5~1.0kg(片足)

◆回数:5~10回(翌日以降の状態に問題がなければ、徐々に15~20回へ)

◆頻度:
⇒1日あたり2~3セット(朝・昼・夕)
⇒1週あたり3~4回(毎日できれば効果的)

◆運動の効果:
⇒筋力UP→骨盤の安定性向上・転倒予防。
⇒滑液の循環促進→股関節の可動性改善・痛みの軽減。

◆注意点:
⇒下側の手足を広げて支える。
⇒つま先ではなく、かかとを天井へ向けるイメージで。
⇒ウェイトをつけたまま歩かない。
⇒息を止めたり、勢い・反動をつけるのは避ける。
⇒疾患をお持ちの方は医師に相談を。

 


いかがでしたか?

繰り返し申し上げますが、今回ご紹介した筋トレは、ウェイトを装着した運動の中では関節や筋肉にかかる負担は比較的大きめになります。

1ヶ月経過して筋トレの効果が出てきても、まずは

「ウェイトを重くする」よりも「実施回数・セット数を増やす」

ことを優先して下さい。

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特に中高年~高齢者の場合、オーバーワーク(使い過ぎ)を防ぐためにも、運動は「低負荷・高頻度」が基本になります。

今までご紹介したすべての運動に共通することですので、頑張り過ぎず、ボチボチやっていきましょう ♪

最後までご覧下さいましてありがとうございました m(_ _)m

 

 

www.sunao-hiroba.com

 

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